2014 Fiscal Year Research-status Report
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26461377
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
石井 清朗 金沢大学, 医学系, 特任准教授 (80419150)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | へパトカイン / 骨粗鬆症 / 肥満 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、肥満時に肝臓から分泌されるヘパトカインLect2タンパク質が、骨代謝にどのような影響を与えうるのか詳細に調べ、これに基づいた新しい骨粗鬆症治療開発の基盤を構築することである。 本年度では初めにLect2ノックアウトマウスにおける骨形態計測を行い、野生型マウスよりも骨量が減少していることが分かった、また高脂肪食を与え肥満状態にすると野生型マウスの血液中におけるLect2濃度が上昇し、結果としてノックアウトマウスとの骨量の差がより大きくなることも分かった。細胞レベルでは骨芽細胞よりも破骨細胞に大きな影響があり、Lect2添加によってマクロファージから成熟破骨細胞への分化が抑制されること、その過程でのシグナル、転写因子NFATc1、cfos、PGC-1βの発現抑制、ERKのリン酸化の抑制がみられることが分かった。分化の段階としてはマクロファージから前破骨細胞という分化初期に影響が大きく、成熟破骨細胞のアポトーシスには影響がなかった。Lect2ノックアウトマウスにおいても、血清中の骨芽細胞活性化マーカーよりも破骨細胞活性化マーカーの方が顕著に増加していた。骨芽細胞ではLect2により初期の間葉系幹細胞の増殖は緩やかに抑制するものの、分化段階には大きな影響がみられなかった。破骨細胞へLect2を添加した際の遺伝子発現を網羅的に解析するためにマイクロアレイを行い、炎症に伴う遺伝子の発現が増えていることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Lect2の骨代謝への影響として骨芽細胞を標的としていたが、破骨細胞により影響が大きいことが分かり、破骨細胞の解析を優先した。当初の計画でも破骨細胞への影響も解析することは明記されていたが研究の過程で優先度が高まった。したがって、Lect2の骨代謝への影響を解明するという目的において、研究自体は進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、破骨細胞におけるLect2の影響を中心に解析して行くため、マクロファージにおけるLect2の受容体とされているcd209aの解析も行っていく。
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Causes of Carryover |
マウスの繁殖が当初の計画よりも順調に進み、購入するマウスの数が減ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度のマウスの繁殖に使用する。
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