2014 Fiscal Year Research-status Report
RNAiを用いた緑膿菌バイオフィルム感染症に対する新しい治療戦略
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26461511
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
平松 和史 大分大学, 医学部, 准教授 (80301381)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門田 淳一 大分大学, 医学部, 教授 (50233838)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 緑膿菌 / siRNA / バイオフィルム / グリコカリックス / アルギン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
緑膿菌バイオフィルムの形成には、緑膿菌の上皮や異物などへの付着、twitching motilityなどによるmicrocolonyの形成、そしてグリコカリックスやアルギン酸などの産生による成熟したバイオフィルムへの成長という大きく3つの段階がある。本研究課題においてはこれら3ステップのなかで最終段階のグリコカリックスやアルギン酸産生をRNA干渉によって抑制することを目的としている。そのための標的遺伝子として、グリコカリックス関連遺伝子であるPelAやPslA遺伝子とアルギン酸関連遺伝子AlgUを選択し、これら遺伝子のsiRNA作成準備を行った。PelA、PslA、AlgU遺伝子の塩基配列からsiRNA候補となるオリゴヌクレオチド配列の決定をこれまで報告されている方法を参考に行った。またsiRNAの菌への取り込み状況を評価するため蛍光標識したPelA、PslA、AlgU遺伝子に対するsiRNAの合成を行った。さらに過去の基盤研究(C)「多剤耐性緑膿菌感染症を制御する新しいシステムの構築-RNAiによる耐性遺伝子阻害」の結果を基に効率よく細菌内に取り込まれるようにコレステロール修飾をsiRNAに行うこととした。以前の検討ではコレステロール修飾していない蛍光標識siRNAを緑膿菌に作用させ、共焦点レーザー蛍光顕微鏡で菌の染色状況を観察すると蛍光発色する菌体は数%にすぎなかった。一方、コレステロール修飾した蛍光標識siRNAを同様に緑膿菌に作用させるとほぼ100%の菌体が蛍光発色し、効率よく菌体へ取り込まれていることが確認されている。現在、蛍光標識+コレステロール修飾siRNAの合成を行い、緑膿菌と作用させ、siRNAの取り込みの状況について検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度ではsiRNAの設計、作成及びsiRNAの緑膿菌内への最適な取り込み条件の検索などを行う予定であった。しかしながらsiRNAの設計が難航し、予定していたsiRNAの緑膿菌への効率的な取り込み条件の検索や標的遺伝子PelA、PslA、AlgUに対するmRNA産生抑制効果の検討などが実施できていないため、本研究の達成度は「やや遅れている」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に予定していたsiRNAの導入実験を行う。siRNAの取り込み状況については共焦点レーザー蛍光顕微鏡を用い検討する。十分な取り込みが認められない場合は、グルコースやアミノ酸等でsiRNA修飾を行い高効率な取り込み条件の設定を行う。さらに標的遺伝子のmRNAやグリコカリックス、アルギン酸の産生抑制効果について検討を行う。
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Causes of Carryover |
PelA、PslA、AlgUに対するsiRNAの設計が難航したため平成26年度に予定していた標的遺伝子のmRNA産生抑制効果やグリコカリックス、アルギン酸産生抑制効果の検討が実施できなかった。そのため予定していた試薬やプラスチック製品等の購入を行わなかったため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度に引き続きsiRNA合成を外部企業に委託、購入する。mRNA産生量をreal time PCRで行うため、その試薬などの消耗品の購入を行い、平成26年度からの繰り越し分を含めて研究費の使用を計画している。
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