2015 Fiscal Year Research-status Report
全身型若年性特発性関節炎の発症に関する分子免疫学的解析とその臨床応用
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26461571
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
清水 正樹 金沢大学, 医学系, 助教 (10401902)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 全身型若年性特発性関節炎 / マクロファージ活性化症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. サイトカインプロファイルおよび末梢血細胞亜群解析による免疫学的phenotype と臨床病型の関連に関する検討 全身型若年性特発性関節炎(s-JIA)症例におけるサイトカインプロファイルと臨床像と比較検討し、血清IL-18/IL-6比<1000であるIL-6優位群は関節炎所見が有意に強いこと、IL-18/IL-6比>1000であるIL-18優位群は、有意にマクロファージ活性化症候群(MAS)を合併しやすいこと、MAS合併例では非合併例と比較し有意に血清IL-18値が高値であり、そのcut off値は47750pg/mlであることが判明し、これらの成果をClinical Immunology誌に報告した。さらにs-JIAと同様の症状を呈する成人スティル病27症例のサイトカインプロファイルを解析し、s-JIAとの比較検討を行った結果、両者のサイトカインプロファイルは共通し、同様の病態により発症することが示唆された。現在成果をまとめ、論文投稿中である。またs-JIA、特にMASでは凝固機能障害を呈することが知られているが、我々は血管内皮細胞機能の維持に重要な役割を果たすangiopoietin-1および2に注目し、MAS症例における動態を詳細に解析し、angiopoietinによる血管内皮細胞機能の破綻によりMAS病態が急速に進行すること、またこれらがMASの病勢を示す有用なバイオマーカーとなることが判明し、Cytokine誌に報告した。
2. 免疫学的phenotype と生物学的製剤に対する治療反応性の関連に関する後方視的検討 抗IL-6受容体抗体であるトシリズマブ治療を受けた20例について検討し、治療前にIL-18優位のプロファイルを呈する症例では有意に治療中にMASを発症することが判明し、その成果をClinical Immunology誌に報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サイトカインプロファイル解析の症例数は順調に増加し120例となった。また本年度は抗体アレイシステムによる網羅的解析を進めた。s-JIA急性期とMAS合併時のペア血清での評価が必要であるが、こちらも順調に解析症例数が増加しており、トシリズマブ非投与例10例、投与例8例について測定が終了した。現在発現解析を進めており、来年度内には成果をまとめ、学会および論文報告する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者も運営委員をつとめている日本小児リウマチ学会と連携し、MASに関するWGを組織している。WGの委員の所属施設を中心により多くの全国の施設と連携して、特に症例数の限られる免疫学的phenotype と生物学的製剤に対する治療反応性の関連に関する研究を推進していきたい。
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Causes of Carryover |
当初は今年度中に国際学会において成果を発表する予定としており外国旅費として計上したが、来年度の秋に発表予定となったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記のように10月に開催されるヨーロッパ小児リウマチ学会において成果発表を行う。
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