2016 Fiscal Year Research-status Report
全身型若年性特発性関節炎の発症に関する分子免疫学的解析とその臨床応用
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26461571
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
清水 正樹 金沢大学, 医学系, 助教 (10401902)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 全身型若年性特発性関節炎 / マクロファージ活性化症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
全身型若年性特発性関節炎(s-JIA)と同様の症状を呈する成人スティル病(AOSD)症例のサイトカインプロファイルを解析し、s-JIA症例と比較検討を行った。その結果、両疾患はともに急性期の血清IL-18濃度が著明に高値であり、寛解期にも高値が持続する点が特徴的であり、AOSDにおいてもs-JIAと同様IL-18の過剰産生を背景とする自己炎症病態が深く関与していることが推測された。また、AOSDにおいてもIL-6優位群、IL-18優位群の2つの亜群が存在し、この鑑別により臨床経過、予後を予測できる可能性があることが示唆された。以上の結果について、第23回ヨーロッパ小児リウマチ学会で発表し、Clinical Immunology誌に報告した。 s-JIAの致死的な合併症であるマクロファージ活性化症候群(MAS)では、正確な診断と治療介入が必須となる。sTNFRII/I比がMASにおける炎症細胞の活性化状態を反映するMASの診断に有用な指標となるかどうか検討した結果、sTNFRII/I比はs-JIAの急性期において正常対照と有意な差を認めなかったが、MAS症例では有意に増加していた。sTNFRII/I比はMASの合併と同時に急速かつ高度に増加し、その他の炎症性サイトカインや一般活動性指標と有意に相関していた。これらの結果から、sTNFRII/I比は炎症細胞の活性化の程度を反映するMASの有用な活動性指標となると思われた。以上の結果についてまとめ論文投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MASを合併したs-JIA10症例について、s-JIA急性期およびMAS合併時のペア血清を用いて、抗体アレイシステムによる網羅的解析を行った。その結果MAS合併時において有意の発現が増加する分子がいくつか同定された。また以前に我々が報告したこれらIL-18(全身症状)優位群10例の結果とIL-6(関節炎)優位群10例の急性期の比較を行った結果、これらの分子は前者において有意の増加していることもわかった。ELISA法でも発現増加が確認でき、これらの分子は急性期においてもMASを合併するような全身症状優位群で増加し、MASへ進展するとさらに増加することから、MASの合併の予測や活動性評価に有用であることが示唆された。現在これらの成果についてまとめ、今年度の学会で報告するとともに、論文報告を行う予定である。 このように血清を用いた解析は概ね達成できている。 細胞の機能解析についてもMAS合併例を含め4症例において、経時的な変化を観察できている。
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Strategy for Future Research Activity |
血清の解析は問題なく進行しているが、NK細胞を中心とする機能解析は採取後すぐに解析を必要とするため、なかなか症例数が増加していない。希少な疾患であることもあり、近隣の施設からは患者様を紹介していただけるよう、連携を強化したい。
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