2015 Fiscal Year Research-status Report
非受容体型チロシンキナーゼPYK2を分子標的とする川崎病新規治療法の開発
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26461616
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
中村 明宏 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 博士研究員 (50313854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜岡 建城 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60189602) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 川崎病 / 血管炎 / pyk2 / IP-10 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに代表者らは、非受容体型蛋白質キナーゼのひとつPyk2の欠損マウスが、カンジダ細胞壁抽出物(CAWS)誘発マウス川崎病様血管炎に抵抗性を示すことを見いだした。本年度は前年度に引き続き、その分子機序について生化学的な解析を行った。抗体アレイを用いたサイトカインの網羅的解析から、野生型マウスではCAWS刺激で増加した血中IP-10/CXCL-10およびMIG/CXCL9は時間とともに漸減するのに対して、Pyk2欠損マウスでは長期にわたり高値を維持していた。IP-10およびMIGの発現はJac/STAT系による制御を受けるが、骨髄から分化誘導したマクロファージを用いたin vitro でのCAWS刺激実験から, WT由来マクロファージではCAWS刺激によりSTAT-3のリン酸化が亢進するが、Pyk2欠損マウスではSTAT3のリン酸化レベルに有意な変化が見られなかった。STAT-3はIP-10などの発現に抑制的に働くことから、両系統にみられたCAWS刺激後の血中IP-10およびMIGの経時変化の差異は、STATsを介したシグナル経路が関与するものと考えられる。IP-10やMIGは炎症性サイトカインとして知られている他、強い血管新生阻害活性をもつことが明らかになりつつある。私たちはこれまでに、CAWS誘発マウス川崎病様血管炎の発症に際して冠動脈および大動脈起始部周囲の微小血管の増生が重要な役割を担うことを報告しているが、IP-10やMIGはこうした炎症初期の血管新生を阻害することで、血管炎の発症を抑制している可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験動物の繁殖と準備との関係で実験に一部遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
Pyk2欠損の血管新生にあたえるについてin vitro系も併用して調べる。Pyk2阻害剤の抗炎症効果について川崎病モデルマウスで検討する。
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Causes of Carryover |
一部の実験で遅れが生じ計画を部分的に軌道修正したことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
汎用消耗品およびマウスの購入費に充てる。
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