2016 Fiscal Year Research-status Report
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26461700
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
村上 孝 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (00326852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 克代 高崎健康福祉大学, 薬学部, 助手 (90455288)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | がん / メラノーマ / シグナル伝達 / 浸潤 / 転移 / 上皮間葉転換 |
Outline of Annual Research Achievements |
BRAF(V600)とNRAS(Q61K/Q61R)変異は、RAS/RAF/MEK/ERKシグナル伝達カスケードを恒常的に活性化し、悪性黒色腫(メラノーマ)の主要な腫瘍原性変異と考えられている。浸潤転移能を持つメラノーマの段階的なの進展機構を知るために、エピジェネティック修飾が少ないと考えられる動物資源から不死化メラノサイトを用いたモデル作成を試みた。前年度に作製したテロメラーゼ(TERT)を安定的に発現するトランスジェニック(Tg)ラットからメラノサイトを分離し、培養系での維持について検討を行った。TERT-Tgメラノサイトはこれまでのヒト初代培養メラノサイトと同党の増殖能を保持していたものの、レンチウイルスベクターを用いた遺伝子導入効率はヒト由来よりも劣る結果を示した。併せてTERT活性を評価したところ樹立系統のTgラットでは野生型ラットとほぼ同程度であることが判明した。TERT-Tgラット由来メラノサイトの不死化クローンの分取について検討を続けるが、樹立したTERT-Tgラット由来メラノサイトにおいてはTERT活性およびレンチウイルスベクターによる転移浸潤関連遺伝子の導入感受性も十分ではない可能性がある。その一方で、in vitro転移浸潤系における細胞運動と上皮間葉転換(EMT)の関係について、HMG-CoA還元酵素阻害による脂質代謝合成系の役割が明らかになった。スタチン系化合物はHMG-CoA還元酵素阻害はTGFβ1によるEMT化誘導に拮抗し、それはコレステロール合成経路と共役することが判明した。これらの結果から、脂質代謝経路とその下流シグナル伝達経路の遺伝子機能に焦点を絞りながらメラノーマ細胞の浸潤転移の仕組みを明らかにしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
浸潤転移能を持つメラノーマの段階的なの進展機構を知るために、エピジェネティック修飾が少ないと考えられる不死化メラノサイト系が必要になるため、その構築に取り組んだ。しかし、細胞不死化の有力な因子となるテロメラーゼ(TERT)を普遍的に発現するトランスジェニック(Tg)動物を用いたが、樹立されたTgにおけるメラノサイトでのTERT活性が十分ではないことや更なる遺伝子改変への試みとしてレンチウイルスベクターへの感受性の結果を得るまでに時間を要した。さらに28年度内に新たな研究機関(現所属)への異動が生じたため、新たな研究環境の整備と各種施設内実験承認にも時間を要したため研究計画に遅れをきたした。
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Strategy for Future Research Activity |
近年、CRISPR/Cas9システムを用いたゲノム編集による細胞遺伝子改変技術が進み、in vivoにおける実験動物個体においてもゲノム編集が可能になっている。ゲノム編集では、簡便なsiRNAによる標的遺伝子発現抑制は微弱な遺伝子発現の可能性を完全に排除できることやドライバーoncogeneの活性化型変異を後天的に導入できるメリットがある。したがって、CRISPR/Cas9系を細胞(in vitro)から実験動物(in vivo)に至る統合システムとして構築し、メラノサイトの不死化並びにがん化など、浸潤転移を視野に入れた腫瘍モデル系による解析を行いたい。このシステムを用いることで、メラノーマが獲得した後天的な代謝異常やエピジェネティック異常を次世代高速シークエンサーにより分析し、従来までのヒトメラノーマとの重複異常を抽出し、より精度の高い結論を得たいと考えている。
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Causes of Carryover |
28年度内に新たな研究機関(現所属:平成28年9月1日)への異動が生じたため、新たな研究環境の整備と各種施設内実験承認にも時間を要したため計画に遅れをきたした。また研究代表者と研究分担者の研究実施環境変更に伴う計画の見直しや変更が必要になった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
CRISPR/Cas9システムを用いた最新のゲノム編集による細胞遺伝子改変技術を導入し、より精度の高い結論を求める。したがって、CRISPR/Cas9システム導入に伴う分子生物学実験関連の試薬品、細胞培養関連のプラスチック製品など消耗品の購入し、平成29年度内に全額執行する。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Maltotriose conjugation to a chlorin derivative enhances the antitumor effects of photodynamic therapy in peritoneal dissemination of pancreatic cancer.2017
Author(s)
Kato A, Kataoka H, Yano S, Hayashi K, Hayashi N, Tanaka M, Naitoh I, Ban T, Miyabe K, Kondo H, Yoshida M, Fujita Y, Hori Y, Natsume M, Murakami T, Narumi A, Nomoto A, Naiki-Ito A, Takahashi S, Joh T.
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Journal Title
Mol Cancer Ther.
Volume: 16(6)
Pages: 1124-1132
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] An in vivo screening system to identify tumorigenic genes.2017
Author(s)
Ihara T, Hosokawa Y, Kumazawa K, Ishikawa K, Fujimoto J, Yamamoto M, Murakami T, Goshima N, Ito E, Watanabes S, Semba K.
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Journal Title
Oncogene
Volume: 36
Pages: 2023-2029
DOI
Peer Reviewed
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