2015 Fiscal Year Research-status Report
ハイブリットMRI造影剤創製と動物実験による他の造影剤との性能の基礎的比較検討
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26461807
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
嶋田 守男 駒澤大学, 医療健康科学部, 教授 (20196489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 宏起 駒澤大学, 医療健康科学部, 教授 (10272494)
岡田 朋子 駒澤大学, 医療健康科学部, 講師 (60409795)
森口 央基 駒澤大学, 医療健康科学部, 教授 (70296705)
桐生 茂 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (20313124)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | コラーゲンペプチド / 造影剤 / Gd / NH2-DTPA / MRI / USPIO / SPIO / 間質性MR Lymphography |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、コラーゲンペプチドの温度応答性を利用して全く新しい温度応答性MRI造影剤を創製し、動物実験によって他の造影剤との性能を比較検討して本造影剤の有用性を明らかにすることである。 平成27年度は、平成26年度に未完了であったコラーゲンペプチドへのGdキレートの導入法について検討し、コラーゲンペプチドを導入した新しい造影剤の再合成を実施した。具体的には、アミノ基を付加したキレート試薬(NH2-DTPA)にGdを結合させた後に、コラーゲンペプチドに結合させた。Gdのキレート試薬への結合は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)と質量分析(ESI-MS)で同定し、目的の物質が得られたことを確認した。また、平成26年度までに確立した方法で得た、蛍光物質をコラーゲンペプチドに結合させた分子の蛍光特性を、顕微鏡で評価した。蛍光特性は、コラーゲンペプチドに導入する前後で顕著な変化は無かった。また、この合成した分子が、コラーゲンペプチドの集積能を利用してがん細胞に集積することを、確認できた。 比較動物実験研究では、鉄剤を間質に投与し、リンパ流の評価を検討した。そのためにファントムによる至適濃度の算出とマウスに鉄剤を後脚の皮下に注射して粒子径と濃度の違いによるリンパ節の描出能を比較した。1.0T MRIを用いてT1強調3D-FLASHにて撮像を行い、鉄剤は20,50,100nmの粒子径を使用した。ファントム実験では、それぞれの粒子径に対して20倍から100倍までの希釈濃度のファントムを作成し、撮像した画像から求めたSNRにおいて、いずれの粒子径においても60倍希釈が至適濃度であった。マウスを用いた実験では、鉄剤の粒子径それぞれに対して10倍,20倍,60倍希釈を用いて3回ずつ、投与前,5分後,15分後,30分後,1時間後,3時間後に撮像した。膝窩・仙骨リンパ節での造影効果を比較したところ、投与側のリンパ節のみ陰性に造影され、リンパ流の評価を鉄剤にて行うことが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度は、キレート試薬を導入したコラーゲンペプチドにGdを導入した新しい造影剤の合成を完了した。平成26年度は、コラーゲンペプチドに蛍光物質を導入した物質700DX-PHG10の合成は完了したが、計画していたGdキレートの導入まで達成できなかった。この部分を、達成できた点で進捗は順当であるが、MRによるシグナル取得は、最終年度に実施し、他の造影剤と比較検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、計画していたGdキレートの導入した新しいMR造影剤を合成し、この新しい造影剤と従来のGd系造影剤およびMRI鉄剤とのファントム比較実験とマウスを用いた各種造影剤の比較実験を行なう。マウスを用いた各種造影剤の比較実験では、各種造影剤間質性投与に於ける肝臓、リンパ節、腎臓、血管系、筋肉などの造影効果を比較する。また、出来れば静脈投与後に於ける肝臓、リンパ節、腎臓、血管系、筋肉などの造影効果を比較する。
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Causes of Carryover |
新しいMRI造影剤の合成が困難だったため27年度は成果は成果を発表するための旅費は使用しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度(28年度)は、新しいMRI造影剤の合成ができる見込みとなっている。 また、現在までの成果を学術雑誌に投稿中である。また、従来の造影剤との違いについて を国際学会で報告する予定である。
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