2014 Fiscal Year Research-status Report
多発性硬化症の通常のMRで検出困難な脳白質傷害の評価:位相差強調画像に関する研究
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26461810
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
掛田 伸吾 産業医科大学, 医学部, 講師 (30352313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
興梠 征典 産業医科大学, 医学部, 教授 (60195691)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 多発性硬化症 / MRI / 位相 / 位相差強調画像 / 白質障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
多発性硬化症(multiple sclerosis; MS)とは中枢性脱髄疾患の一つで、多様な神経症状が再発と寛解を繰り返す疾患である。現段階においては、臨床症状、MRI検査のみでしかMSの再燃を判断できない。しかし、MSでは通常のMRI検査などで異常を認めない大脳白質(いわゆるnormal‐appearing white matter)にも発症早期から障害が認められ、これらがMS患者の運動機能予後や認知機能障害に大きな影響を与えていると考えられている。このため、MSにおける脳障害を神経線維レベルで画像化する新たなMRI撮影法の開発が期待される。本研究では、位相差強調画像化法を用いてMS患者におけるnormal‐appearing white matterの障害を神経線維レベルで画像化することを目的としている。 平成26年度は、正常被験者を用いて位相差強調画像における大脳白質(白質神経線維)の正常解剖の可視化について、MR撮像法と位相差強調画像法における再構成法の最適化をおこなった。具体的には、正常被験者3名により、位相方向、撮像パラメータ (TE, TRなど)、画像解像度、を変化させ様々な画像データを取得した。更に得られた画像データを、フィルタサイズ、位相差選択、強調パラメータ(3種類)など様々な再構成パラメータの組合せを用いて位相差強調画像を作成した。これら様々な条件で得られた位相差強調画像を評価することで、MR撮像法と再構成パラメータを最適化でき、従来のMR画像では得られない白質神経線維路のコントラストを得ることが出来た。また、数例であるがMSと診断された患者に対して、位相差強調画像を撮像した。結果、位相差強調画像において、通常のMRI画像では描出できない白質病変の障害を描出できることを確認できた。今後は、画像統計学的検定が行えるように更に症例を蓄積する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、位相差強調画像における大脳白質(白質神経線維)の正常解剖の可視化が可能となった。また、数例ではあるがMS患者の位相差強調画像において、通常のMRI画像では描出できない白質病変の障害が描出できることを確認でた。今後は、更に症例を蓄積することで、MS患者におけるnormal‐appearing white matterの障害を統計学的検定においても証明できると考えられる。さらに、神経学的所見など臨床データを検討に加えることで、normal‐appearing white matterの障害と臨床的重症度との関係も解明できると考える。以上、当初の計画に従って今後の研究を遂行できる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、平成26年度の計画を引き続き実施しながら画像統計学的検定が行えるように更に症例を蓄積する。また、臨床的研究で得られた結果をフィードバックすることで、位相差強調画像の更なる画質改善を行う。また、定性的評価に加え、定量的評価が可能となるように、白質と灰白質信号を分離し白質の定量値を計測できるソフトの開発を行う予定である。
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Causes of Carryover |
物品が予定より安く購入できたため、残高が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の消耗品の購入にあてる予定である。
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