2014 Fiscal Year Research-status Report
臨床用MRIを用いたアルツハイマー病発症前診断を可能にする位相画像技術の開発
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26461830
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
米田 哲也 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 准教授 (20305022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 俊範 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 准教授 (40274724)
橋本 衛 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (20452881)
池田 学 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 教授 (60284395)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 認知症 / アルツハイマー病 / MRI / 位相画像 / アミロイド斑 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、アミロイド老人斑を脳に蓄積するAPP23マウス脳を用いた、検出実験と人のデータを大学病院にて撮像し、検出手法の改善と、臨床所見と画像所見との一致度を観察する検討を平行して行っている。 マウス脳を用いた検討は、本年度でAPPマウスを9、11、13、16、30ヶ月齢を2例から3例ずつと、30ヶ月齢を除く各月齢のコントロールマウス脳を最低1例ずつ撮像することができた。撮像には、in-vivo, ex-vivoそれぞれで行い、臨床条件に近い、surfaceコイルとチャンピョン画像となるsolenoidコイルを用いた。得られた画像は、予定通り位相差強調画像化法によりコントラスとを再構成し、アミロイド斑内の鉄に注目して強調を行った。強調後の画像は、二値化後、6E10抗体による染色画像と比較検討を行い、位相差強調画像化法が正確にアミロイド斑を描出していることを、定量的に確認した。この結果を臨床に適用するために、二値化後のデータを観察範囲内の信号密度に変換し、信号密度としても、もちろん相関があることを確かめた。このような密度化の処置は、臨床画像条件が動物実験の条件に比べて、低空間分解能であることを考慮したためである。また、得られたデータから、定量化が高精度に可能であることも確認し、臨床応用が可能であることを示すことができた。 臨床試験では、患者群と年齢と性別をコントロールした健常群に分け、臨床撮像時間を3分台として撮像を行い、頭頂葉、上側頭葉、後頭葉、前頭葉で、皮質内に信号があるかを、定量・定性的に検討を行った。例数は各10例程度であるが、統計的熊差を持って、位相差強調画像化法による画像コントラストは、健常群と患者群を区分することが可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初、患者群を観察する際に予定していた10例程度は十分達成できた。また、そのうち5例はアミロイドPETを撮像することもできており、従来のゴールデンスタンダートと言われているPET画像と、我々の検討手法との定性的比較が可能になり、予想を超えた結果となった。これは、分担研究者である医者らの努力と患者との信頼関係によるものが大きく、研究が予想より大きく前進する要因であったと考えている。 さらに、マウスを用いた検討では、例数をかなり稼ぐことができており、十分な相関関係を見いだすだけのデータ数をそろえることができた。 以上の結果から、本年度の検討は、計画以上に新しており、次年度以降の研究に資するものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
患者群が、比較的若年性のものを選出しているため、今後は例数の充実と、幅広い年齢の確保を進めてゆく予定である。さらに、可能であれば本年度実施数を多く挙げたPET撮像も、随時追加してゆき、検討の幅を広げる努力をしてゆきたい。 また、次年度秋に、国際アジア認知症学会が研究分担者を大会長として催される予定となっているため、これを利用して我々の研究を世界的な画像検出法のスタンダード化させてゆければと考えている。そうすることによって、研究の社会貢献だけでなく、実際的な手法のモデルとなり、投資された研究資金の最も有効な社会還元となると考えている。また、その先には、大規模な他施設研究を促すことにも繋がり、手法によってもたらされる結果が、地域依存性・人種依存性がない事を示したいとも考えている。
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Causes of Carryover |
予定していた免疫染色数が、実験の進捗状況が予定より遅くなり少なかったため、1回分の免疫染色、二次染色等の薬品代が余剰として残った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に確実に使用する費用であるため、免疫染色に全て使用される予定である。
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