2015 Fiscal Year Research-status Report
ターゲット癌細胞への64Cu標識蛍光抗体光線療法の研究
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26461845
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
中島 崇仁 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任准教授 (70375559)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 分子イメージング / 蛍光 / ポジトロン核種 / 抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
米国国立衛生研究所(NIH)にて開発された蛍光抗体光線療法(photo-immunotherapy)は抗体をベースとして蛍光増感剤を標識した薬剤を投与した後に、近赤外線を照射することで、ターゲットとなる癌細胞を超選択的に壊死させる手法である。本手法は蛍光増感剤が蛍光物質としての役割も果たすため、抗体の目的腫瘍への集積を確認してから治療を行う事ができる。ただし、近赤外線を用いて蛍光イメージングを撮像しているため、体内の深部では病変部の描出はできない。 本研究では蛍光抗体光線療法に用いている薬剤(蛍光抗体)にポジトロン核種である64Cuを標識することで、治療のための近赤外線は到達しても、イメージングが難しい体内の深部への薬剤集積についてもイメージングを可能にする。PET画像として病変への薬剤(蛍光抗体)の集積を確認してから、病変部に効率的に近赤外線を照射することで癌細胞を治療することを目的とする。 本年度は、CD20をはじめとする癌細胞だけでなく、iPS細胞(幹細胞)を用いた本手法の有効性について、従来の方法(64Cu非標識)を用いて検討を行った。また、64Cuによる蛍光抗体の標識の手法について検討を進め、実際に標識を行い、標識率(蛍光標識率・放射性物質標識率)について結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
米国国立衛生研究所(NIH)の実験環境と同等の赤外線照射システムを研究室内に構築し、実際に細胞および担癌マウスに対して蛍光抗体光線療法(photo-immunotherapy)を行った。蛍光抗体にポジトロン核種である64Cuの標識を行い、薬剤の標識率について成果を得た。この際には、蛍光物質(蛍光増感剤)の抗体への標識数を少なくすることで、キレート剤であるDOTAに結合された64Cuが抗体に結合できる領域を増やす工夫をすることで治療薬剤の開発を行った。問題点としては、非標識の64Cuが合成物に残存していることが挙げられる。これについては、高速クロマトグラフィー(HPLC)を用いて薬剤の精製を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
ポジトロン核種である64Cuと蛍光増感剤(IRDye 700Dx)を抗体に同時標識した薬剤の血清中での安定性を確認後、細胞および担癌マウスへの応用を行う。細胞実験では、1)抗体本来の抗原性の認識を非放射性のCu同位体を用いて金属非標識の蛍光抗体との比較・2)64Cuから放出されるβ線やオージェ電子について細胞傷害性についての検討を行う。細胞傷害性については蛍光抗体光線療法の治療効果を高める可能性もある。担癌マウスを用いた1)PETイメージング・2)蛍光抗体光線療法を行う。
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Causes of Carryover |
本年度は64Cu標識蛍光抗体薬剤を作成することに注力したため、細胞実験や動物実験に至らなかった。そのため、担癌マウスを作成するためのヌードマウスの注文をしていないため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
担癌マウス作成のために、ヌードマウスを使用する。この担癌マウスを用いてPETイメージングおよび近赤外線照射による腫瘍の治療を行う。
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[Journal Article] Photoimmunotherapy of hepatic-cellular carcinoma-targeting Glypican-3 combined with nanosized albumin-bound paclitaxel.2015
Author(s)
Hanaoka H, Nakajima T, Sato K, Watanabe R, Phung Y, Gao W, Harada T, Kim I, Paik CH, Choyke PL, Ho M, Kobayashi H.
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Journal Title
Nanomedicine
Volume: 10
Pages: 1139-47.
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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