2014 Fiscal Year Research-status Report
梗塞後左室リモデリングの病態に関するマルチトレーサ生体分子イメージングの研究
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26461847
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
瀧 淳一 金沢大学, 大学病院, 講師 (10251927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴 和弘 金沢大学, 学際科学実験センター, 教授 (40143929)
小川 数馬 金沢大学, 薬学系, 准教授 (30347471)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | tenascin-C / matricellular protein / myocardial infarction / remodeling / postconditioning / angiogenesis / RGD / apotosis |
Outline of Annual Research Achievements |
心筋梗塞におけるmatricellular蛋白の代表であるTenascin-Cの発現と治療的インターベンションとしてのpostconditioningによるTenascin-Cの発現に対する影響、ならびにその後の左室リモデリングへの影響に関して以下の実験を施行した。虚血再還流ラット(30分虚血再還流モデル,n=27)におけるTenascin-Cの発現をI-125標識抗tenascin-C抗体(I-125-TNC)を用い、再還流1,3,7,14日後にオートラジオグラフィにて集積を検討した。その結果I-125-TNCの非虚血部に対する虚血部の集積比はそれぞれ3.73 ± 0.71, 4.65 ± 0.87, 2.91 ± 0.55 (P < 0.005 vs 3 day), 2.01± 0.17, (P < 0.005 vs 1 day and 3 day)と3日でピークに達し、その後漸減した。次いで虚血直後にpostconditioningを行うことでそのTenascin-C発現の及ぼす影響を検討した(n=27)。Tenascin-Cの発現(I-125-TNC)の集積)は1,3,7,14日後でそれぞれ2.59 ± 0.59(p < 0.05), 3.10 ± 0.42( P < 0.005),1.93 ± 0.37 (P < 0.05), 1.40 ± 0.07 (P < 0.001)と有意に低下した。左室リモデリングに関しては虚血再還流2月後に心臓超音波検査にて評価した。その結果30分虚血再還流群(n=6)に対してpostconditioningを施行した群(n=6)では拡張末期径は1.0 ± 0.06 cmから0.90 ±0.15 cm (P<0.05)、収縮末期径は0.90 ± 0.15 cmから0.62 ± 0.19 cm (P<0.05)へと縮小し、%fractional shorteningは10.5 ± 3.7から28.2 ± 10.7 (p<0.005)へと改善した。 以上より、I-125-TNCイメージングにより、心筋梗塞後の間質に発現するmatricellular蛋白の代表であるTenascin-Cは3日でピークとなり以後漸減すること、この発現はpostconditioningにより梗塞1日後から14日後までのすべての時期にわたって抑制されること、postconditioningにより2か月後の左室リモデリングが抑制されることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Tenascin-Cの集積機序に関するI-125標識抗tenascin-C抗体イメージングに関する検討はおおむね順調に進んだ。特にpostconditioningによる梗塞後の急性から亜急性期のtenascin-Cの発現の抑制と、2月後の左室リモデリングの抑制の関連が示された意義は大きかった。 ただし、小動物用のSPECT/CTによる生体画像に関しては、アイソトープ施設の耐震工事の影響で、装置の設置が1年以上の遅れとなったため現在足踏み状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
心筋梗塞後におこる間質の病態の一つであるTenascin-Cの発現状況に関するI-125標識抗tenascin-C抗体イメージングに関する検討はpostconditioning の影響も含めおおむね順調に進んだ。そこで血管新生マーカーであるRI標識Galactro-RGDによるオートラジオグラフィにより、その集積が経時的にどのように推移するかの基礎的検討を行う。 生体イメージングによる検討はSPECT/CTが搬入されしだい開始する予定である。まずは検出器の感度、空間分解能等の基礎的データを収集確認しその信頼性を担保した後にラットにおける生体イメージングを施行してゆく予定である。使用核種はTc-99m, I-123をまずは予定している。
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Causes of Carryover |
小動物用のSPECT/CT装置の設置の遅れによりI-123標識トレーサを用いた実験が行えなかったため、それに伴う経費は繰り越しとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
SPECT/CT によるラット生体イメージングに使用する、I-123標識tenascin-C, I-123標識RGDの作成のために使用予定である。
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