2014 Fiscal Year Research-status Report
凍結療法に用いる同軸針の改良による凍結範囲の制御についての研究
Project/Area Number |
26461870
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
屋代 英樹 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (90327643)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中塚 誠之 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50188984)
井上 政則 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (30338157)
小黒 草太 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (50383716)
塚田 実郎 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (50573276)
須山 陽介 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (00594607)
田村 全 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (50594602)
伊東 伸剛 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (00445248)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | インターベンショナルラジオロジー(IVR) / 放射線医学 / 凍結療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の研究グループでは、肺悪性腫瘍に対する凍結療法の基礎実験および臨床を行っており、血管への近接が無く、十分な凍結範囲を得られた症例において、良好な治療成績を上げてきた。本研究においては、十分な凍結範囲を得るために、一本の凍結端子による凍結範囲の拡大を得ることを目的としている。 平成26年度では銅(熱伝導率 402 W/m・K)と真鍮(熱伝導率 119 W/m・K)の同軸針を作成し、ゼラチンファントムでの温度計測を行った。Endocare社製CRYOCAREと2.4mm径凍結端子を用い、600秒の凍結を行ったところ、銅同軸針では30×64mmのice ballを形成し、真鍮同軸針では32×64mmのice ballを形成した。 予備実験で使用した側枝付き同軸針は、同軸針に対して垂直に側枝を作成し、半田で固定した形状であり、経皮穿刺が不可能な形状であったため、経皮穿刺可能な形状として銅製同軸針に側孔を作成し、側孔より先端の曲がった針金状の金属(銅)を入れる形態の側枝付き同軸針を試作した。側枝がついた銅同軸針では34×64mmの偏心性に広がるice ballを形成し、同軸針から12mmの距離においた温度センサーでの計測では、側枝先端部から2.5mmの距離にあるセンサーは、側枝の無い側のセンサーより5.14℃の温度低下が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の実験計画では、素材の異なる同軸針を作成し、寒天モデルにおける温度計測を行うことと、熱伝導率の異なる素材を組み合わせた同軸針を作成し、寒天モデルおよび動物実験での温度計測実験を計画していた。 熱伝導率の異なる同軸針での温度計測実験は予定通り行われたが、ice ballの大きさ、温度変化は誤差範囲の違いと判断した。故に、熱伝導率の異なる素材を組み合わせた同軸針での温度計測実験については、必要性が低いと判断し優先度を下げた。 また、予備実験で使用した側枝付き同軸針は、同軸針に対して垂直に側枝を作成し、半田で固定した形状であり、経皮穿刺が不可能な形状であったため、今年度は経皮穿刺可能な形状として同軸針に側孔を作成し、側孔より先端の曲がった針金状の金属(銅)を入れる形態の側枝付き同軸針を試作した。この針により、偏心性のice ballの形成が確認されたため、基本的な針の形状としては従来のラジオ波焼灼療法などで用いられていた展開針に類似する構造で良いと判断し、今後は実際に経皮穿刺可能で、熱伝導が良好となる形状の側枝付き同軸針の設計を行うこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
側枝を展開する形状の同軸針の基本的な形状が定まったが、有効に凍結範囲の拡大が得られる側枝の太さなどを調査する必要がある。ファントムと臓器(肝・肺)などでは熱伝導・比熱が異なることはわかっており、有効な凍結範囲の拡大を得るために必要な側枝の太さも異なる可能性が高い。今年度に作成した同軸針の類似形状での針を試作し、形態の最適化を行う必要がある。低コストで作成可能な工作精度の低い側枝付き同軸針を複数種類作成し、各々ゼラチンファントム(もしくは寒天ファントム)での凍結実験を行い、最適化を進める。最適と考えられる形状の同軸針については、動物実験での凍結実験を行い、in vivoでの実効性も確認する。 最適な側枝付き同軸針の構造が判明した後に、医療での使用を可能とする精度でのプロトタイプの同軸針の設計、(コスト的に可能であれば)作成を行う。作成された同軸針については、従来型の側枝の無い同軸針との比較実験を行い、有効性を評価する。
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Causes of Carryover |
当初の予定では、複数の熱伝導率の異なる素材から形成された同軸針の作成を本年度に予定していたが、熱伝導率の異なる同軸針での凍結範囲の違いが小さかったため、優先度を下げ、本年度では作成しなかった。また、本年度の実験計画では作成する予定では無かった側枝付き同軸針の実験用針を作成したが、ハンドメイドで金属加工業者への支払いは生じなかった。そのため、購入する物品費が大きく減ったため、本年度の使用額が予算額を下回った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
形状の最適化を進めるために側枝付き同軸針を複数本作成し、ファントムでの凍結実験を行う必要がある。同軸針の精度を向上するためには金属加工業者への依頼が必要であり、物品購入費が必要となる。また、ファントム実験における、アルゴンガス、ヘリウムガスについても応分の負担を行う必要があり、物品費として計上している。
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