2014 Fiscal Year Research-status Report
血管外血小板凝集による乳癌細胞の転移形質獲得の病態解明と新規治療法の開発
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26461943
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
井口 雅史 金沢大学, 附属病院, 助教 (90401918)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田島 秀浩 金沢大学, 附属病院, 助教 (00436825)
宮下 知治 金沢大学, 医学系, 特任助教 (30397210)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 血小板 / 乳癌 / 化学療法抵抗性 / 上皮-間葉転換 |
Outline of Annual Research Achievements |
臨床検体を用いた研究から開始した。金沢大学消化器乳腺移植再生外科において、2006年から2013年に術前化学療法ならびに手術を行った症例の治療前の針生検の固定標本100例を用いて、血小板膜糖タンパクGPⅠbに対する抗CD42b抗体による免疫組織化学検査を行い、血小板の局在や形態ならびに臨床病理学的因子との関連を検討した。さらにanti-beta catenin antibodyを使用し、血小板付着腫瘍細胞と上皮-間葉転換(EMT)との関連を評価した。【結果】生検標本100例中48例(48%)で腫瘍細胞周囲をとりまく血小板を認めた。血小板付着腫瘍細胞はいずれも極性の喪失を伴い、特に腫瘍先進部に観察されEMTの誘導が示唆された。さらにanti-beta catenin antibodyを使用し、血小板付着腫瘍細胞とEMTとの関連を評価したところ、血小板付着腫瘍細胞においてβ-cateninの核内移行が観察された。また、血小板付着の有無と術前化学療法における病理学的完全奏功(pCR)率を比較すると血小板付着症例(12.5%)では非付着症例(65.3%)と比べて有意にpCR率が低値であった (p<0.0001)。本研究より、血管外である乳癌原発巣において、腫瘍細胞周囲に血小板が付着する事象が起きており、EMTを誘導している可能性が示唆された。臨床的にはこれらは化学療法の効果予測因子となる可能性があり、さらには治療のターゲットとなることが期待された。 本研究内容は、第22回日本乳癌学会学術集会(大阪)、第23回日本がん転移学会学術集会(金沢)、San antonio breast cancer symposium2014(U.S)にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りの研究が開始され、臨床検体を用いた免疫染色による研究から血小板が化学療法の抵抗性に関与していることが示唆される結果が得られた。研究成果の学会発表も行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、ヒト乳癌細胞株を用いた血小板刺激による微小環境の変化を検討していく予定である。また、研究結果については随時は学会発表ならびに論文化する予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度において臨床検体を用いた免疫染色による研究は、予想より早くよい結果が出たため、追加の試薬を購入する必要がなくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
この未使用額は次年度のヒト細胞株を用いた研究の試薬の費用として充てる予定である。
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