2016 Fiscal Year Research-status Report
Efficacy of high density hydrogen water for the treatment of chemotherapy induced skin disease
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26461956
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
田口 哲也 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80243260)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪口 晃一 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00405284)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 有害事象 / 皮膚障害 / ROS / EGFR / TKI / Lapatinib / Afatinib / Ha-cat細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、afatinibなどのチロシンキナーゼインヒビター(TKI)及びその他抗癌剤による皮膚障害、例えば手足症候群(HFS)の発生におけるROSの関与を明らかにするとともに、この予防法として高濃度水素水の効果を検討するものである。最終的には高濃度水素水による皮膚障害の予防について臨床試験を行うことを目標に、現在は基礎となるin vitro実験を行っている。 まず、予備実験としてヒト角化表皮細胞Ha-CatにEGFRが発現していることを確認した。次に、EGFR inhibitorであるafatinib、EGFR/HER2 inhibitorであるlapatinib、そして細胞障害性抗癌剤としてフッカピリミジン系代謝拮抗剤の5Fuによる増殖抑制を評価した。これら三剤はいずれも臨床上HFSの発生の頻度が比較的高いとされている。三剤はいずれもHa-cat細胞への細胞増殖抑制を起こした。これを元に各薬剤の最高血中濃度を考慮して以後の実験で用いる薬剤濃度を決定した。次に、三剤処理時における細胞周期解析を行ったところ、afatinib, lapatinib各処理群においてsub-G1 populationの増加が起こり、5Fuの処理ではおこらないことが確認された。またafatinib, lapatinib各処理群において、pan-ROS scavengerであるN-アセチルシステイン(NAC)の添加によってSub-G1 populationが減少したことからROS依存性のアポトーシスが起こっている可能性が示唆された。またafatinibについて、pan-caspase inhibitor zVADの添加によるレスキューは確認されなかったことから、カスパーゼ非依存的なアポトーシスであることが裏付けられた。問題点としては、NACによる薬剤の失活という可能性を否定できていないため、別のpan-ROS scavengerを用いた実験を検討している。 次に、ROSの測定を行った。Pan-ROS indicatorを用いてフローサイトメトリーによってROSの蓄積を定量化した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究では抗癌剤、分子標的薬による表皮細胞株からの十分なROSの発生が得られる実験系の確率が最も重要である。しかも臨床応用可能なROSの阻害薬開発を最終目的とする研究であるため、正常な表皮細胞株からROSを安定的に発生する抗癌剤、分子標的薬が実臨床でも使用可能なものであることが必要で、実験系確立には適切な薬剤の選択をいくつも試していく必要があったため、予定より計画に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
H28年度途中よりようやく実験系が確立されてきた。 現在までにROSの発生は確認されるものの発生量や時間条件といったデータが安定しないため、現在条件検討中である。 さらの今後の実験として、発生しているROSの種類の同定が必要である。水素が消去するヒドロキシラジカル(・OH)に特異的なプローブを用いることで、・OHの発生を確認する予定である。・OHの発生が確認されたのちに、治療あるいは予防法につながる高濃度水素を含む培地を用いた、細胞増殖・アポトーシスへの影響を評価する。 さらに、その成果の公表も必要であり1年間の研究期間の延長を申請し認められたが、これらの基礎実験の結果を踏まえて臨床試験が出来るかどうかも検討する予定である。
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Causes of Carryover |
実験に必要な消耗品等は購入済みであるが、学会発表や論文投稿に必要な資金を残したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
準備も含め学会発表や論文投稿に使用する予定である。
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