2015 Fiscal Year Research-status Report
食道癌の治療選択に関わるPI3K/AKTpathway関連遺伝子変異の網羅的検索
Project/Area Number |
26461999
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
志垣 博信 熊本大学, 医学部附属病院, 寄附講座教員 (30594874)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 祥史 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 講師 (20599708)
渡邊 雅之 公益財団法人がん研究会, その他部局等, 食道担当部長 (80254639)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | PIK3CA / 食道癌 / 遺伝子変異 / 喫煙・飲酒 / Pyrosequence / 発癌機序 |
Outline of Annual Research Achievements |
発癌の過程においてPI3K/AKTシグナル伝達経路が注目されており、PIK3CAの変異は、臨床的にも極めて重要なジェネティックな変化である。我が国有数の食道癌治療のhigh volumeセンターであるがん研有明病院のデータベースを用いて、食道扁平上皮癌におけるPIK3CA遺伝子の変異をPyrosequencing technologyを用いて評価し、予後、抗癌剤感受性、疫学的因子(喫煙、飲酒)などとの関係を網羅的に解析し、新たなgenetic biomarkerを探索することが本研究の目的である。 まず臨床病理学的背景の調査として、2005 年1 月~2013年12 月に食道扁平上皮癌に対して切除術を施行した711例を対象とし、習慣的な飲酒、喫煙の無い症例をnon-smoking and non-drinking (NSND) 群とし、喫煙歴または飲酒歴のあるsmoking and drinking (SD)群と臨床病理学的因子を比較検討した。NSND群は711例中30例(4.2%)であった。NSND群はSD群と比べ、女性の割合が有意に高く(73.3% vs 12.3% P<0.001)、食道癌の家族歴を有する割合が多かった(20% vs 7.5% P=0.01)。また、食道内多発病変は少なく(3.3% vs 18.8% P=0.03)、高分化型の割合が多かった(53.3% vs 32.6% P<0.027 )。治療前の深達度が深い傾向があり(P=0.05)、Stageは有意に進行していた(P=0.03)。両群間の全生存率に有意な差は認められなかった(P=0.31 log-rank 検定)NSND群の食道扁平上皮癌はSD群と発癌の機序が異なる可能性があり、PIK3CA 遺伝子を含む、geneticな変化について比較検討をすすめていく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
臨床病理学的背景については進んでいるが、遺伝子検索についてはまだ準備段階である。
|
Strategy for Future Research Activity |
パラフィン包埋切片からのDNA抽出。まず外科的に切除された500例以上の食道癌検体のパラフィン切片からMacro dissection により癌部からDNAを抽出し、DNAデータバンクを構築する。また、凍結切片よりDNAを抽出し、Pyrosequensingを用いたPIK3CA遺伝子変異の検出や、エクソンシークエンスを用いた遺伝子変異検索を進めていく。
|
Causes of Carryover |
医局内保管の消耗品を使用することができたため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は遺伝子検索についての研究を進める予定であり、その消耗品購入費に研究費を当てたいと考える。また、各資料作成や保管等の業務を行ってもらう事務補佐員の人件費としても使用したい。
|