2015 Fiscal Year Research-status Report
末期肝不全に対する肝過小グラフト移植を基盤とした多能性幹細胞融合肝再生法の開発
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26462034
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮城 重人 東北大学, 大学病院, 講師 (00420042)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川岸 直樹 東北大学, 大学病院, 准教授 (00333807)
後藤 昌史 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50400453)
中西 渉 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 非常勤講師 (50636024) [Withdrawn]
中西 史 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 助教 (00547408)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 移植・再生医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究は、過小肝グラフト臓器移植と多能性幹細胞移植の融合技術の確立ということで、臓器移植ラインと細胞移植ラインの2ラインにわけて報告する。 一昨年は幹細胞採取に難渋し、細胞移植モデル作成にまで進まなかったが、昨年になりようやく質のいい多能性幹細胞の分離に成功しつつある。当大学歯学部斎藤教授・半田講師の協力を得てマウス及びラットのMSC採取を進め、更に昨年末からは当大学出澤教授にも御支援いただき、ラットのMuseも採取できるようになった(ヒトMuseは出澤研にあり)。今後は免染にてこれらの細胞の質を担保し、MuseとMSCの幹細胞移植の比較検討に進む予定である。当初の予定よりは遅れてしまっているが、現段階ではMSCとMuseのそろうラットにおいては多能性幹細胞移植については方向性が見えつつある。 ただし、昨年は臓器モデルのほうが安定せず、こちらも難渋中である。一昨年かなりの時間を割いて過小グラフト+シャント作成肝移植モデル(門脈圧抑制モデル:ブタ)の作成に成功し、昨年はいよいよブタ過小グラフト移植モデルにヒト細胞をブースト移植できれは、と考えたが、モデルの術後成績が安定せず十分な細胞数移植まで到達できていない。というのは、過小グラフト移植後の術後状態が安定したものでないと翌朝細胞移植してもすぐにバランスをくずし門脈圧亢進、腹水胸水増加、肝不全死というパターンに陥り、細胞が生着し移植効果が出るところまで到達しないためである。予想はされたことだが、ここまで数値で明らかに違うとは考えていなかったため、今後の門脈・類道内環境を考えなおすきっかけにはなった。また血管拡張剤や抗酸化剤レスベラトロールの使用が類洞内環境改善に有効であることもわかってきた。 MuseもMSCも採取にかなり苦労を要しており、無駄にすることはできないため、門脈経路以外の細胞移植も含めて検討を始めている状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実績欄にも書いた通りであるが、ブタ過小グラフト移植モデル+ヒト幹細胞をブースト移植モデルの成績が安定せず十分な細胞移植まで到達できていない。過小グラフト移植後の術後状態が安定したものでないため、翌朝細胞移植してもすぐにバランスをくずし肝不全死という決まったパターンに陥り、細胞が生着し移植効果が出るところまで到達しないためである(細胞数も十分投与できず)。現方法では予想に反して、過小グラフト+シャント作成モデルが、過小グラフト単独モデルや過小グラフト細胞ブーストよりも、最も良好な生存率となっており、改めて細胞移植ブーストよりも門脈圧や類洞環境が細胞生着において重要なファクターであることはわかってきた。過小グラフト+シャント群で門脈圧を下げることはできるので、何とか生存させることはできたが、肝再生に必要な門脈血流が不足するのか再生が遅れる傾向があった(なんとか数日生存しただけという結果)。さらに細胞移植を追加すると細胞が肝外に流れでるため細胞移植ブーストの恩恵を得られない、つまり将来の見えないモデルとなってしまった。結果的にシャントなし(もしくは極めて小さいシャント)で類洞環境を改善する方が肝再生に有効ということがわかってきた。血管拡張剤や抗酸化剤レスベラトロールの使用が有効であることもわかってきているが、移植細胞数を稼ぐには新たな移植法を検討する必要があると感じている。 上述したが、MuseもMSCも採取にかなり苦労を要しており、無駄にすることはできないため、門脈経路以外の細胞移植も含めて検討を始めている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
大動物モデルにはかなりの時間と金を要したが、現時点では門脈圧亢進抑制の打開策が不十分である(門脈圧が重要なことを数値として認識することはできた)。このため、現在Muse,MSCと準備のそろったラットで再度予備実験に戻る予定である。細胞移植の原点にもどり、まずはラットで部分肝移植+細胞移植ブーストが門脈経路以外で可能なのか、またシャント法以外に門脈圧抑制法がないのか検討に入っている。現時点では、Museの「自走性」「場の論理に従った分化」という能力を信じ、経門脈移植にたよらない細胞ブースト法を検討中である(全身投与や腎被膜化、脾内が有力経路)。なお、当科同チームで並行して細胞シート移植も検討しているが、こちらも難渋中であり(当チームで基盤Cにて科研費取得したところであり、経過は来年以降報告することとする)新規移植法の開発が急務である。
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Research Products
(7 results)