2015 Fiscal Year Research-status Report
膵癌におけるBudding cancer cellの新たな生物学的評価法の確立
Project/Area Number |
26462056
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
滝沢 一泰 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (30706437)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若井 俊文 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50372470)
皆川 昌広 新潟大学, 医歯(薬)学総合研究科, 客員研究員 (10464009)
高野 可赴 新潟大学, 医歯学系, 助教 (30606306)
小林 隆 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (40464010)
亀山 仁史 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (40626420)
小杉 伸一 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任教授 (90401736)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 簇出 / AE1/AE3染色 / Ki-67 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】膵癌腫瘍先進部での細胞間接着能を失って孤立した癌細胞塊Budding cancer cell(BUD)の形質発現から腫瘍組織進展,転移に至る機序を解明することである。 【方法】平成26年度の計画ではBUD数を確認した切片の連続切片において、抗サイトケラチン抗体及び細胞増殖活性を評価するための抗Ki-67 抗体を用いた二重免疫組織化学を行う。TUNEL法での蛍光免疫組織化学(IF)を行いアポトーシスを検出する。 平成27 年度は2009~2011年度に切除された通常型膵癌20症例を対象として、前年度と同じ検討を行う。膵癌腫瘍先進部のBUDにおける細胞表面マーカーを検索し、E-Cadherin の欠失及びビメンチン発現を確認して、BUDにおいて上皮間質転換(EMT)が起こっているかどうかを解明する。 【結果】膵癌切除標本において、抗サイトケラチン抗体及びKi-67抗体を用いた二重免疫組織化学を行った。AE1/AE3染色でBUDが多いと判定されたもの(高簇出群)において、Ki-67陽性群とKi-67陰性群を比較すると、前者は予後不良であり、生存解析を行うと後者は低簇出群とほぼ同等であった。以上の結果をIASGO Continuing Medical Education: Advanced Post-Graduate Course in Tokyo 2015にて発表した。 対象症例のうち、20例において膵癌腫瘍先進部のBUDにおける細胞表面マーカーを検索すると、E-Cadherinは欠失せず、ビメンチン発現は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度以降の計画のとおり、抗サイトケラチン抗体及びKi-67抗体を用いた二重免疫組織化学を行った。AE1/AE3染色でBUDが多いと判定されたもの(高簇出群)において、Ki-67陽性群とKi-67陰性群を比較すると、前者は予後不良であり、生存解析を行うと後者は低簇出群とほぼ同等であった。以上の結果をIASGO Continuing Medical Education: Advanced Post-Graduate Course in Tokyo 2015にて発表した。 しかし、TUNEL法での蛍光免疫組織化学(IF)は現在染色中であり、規定症例数を完遂していない。IFの標本の染色性および2重染色での評価に時間を要し、この一点のみが当初の計画よりやや遅れている。また、上皮間質転換(EMT)を確認するための、E-CadherinおよびVimentinの染色を行ったがEMTは検出できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度以降の予定のとおり2009年度~2011年度に切除された通常型膵癌20症例を追加して、前年度と同じ検討を行う。特にIFについてeffortを高くする。膵癌20例の細胞表面マーカーの検索では、E-Cadherinの欠失及びビメンチン発現を認めないため、上皮間質転換(EMT)が起こっているという仮説は棄却する。以上の結果をまとめ、英文論文を執筆してoncology関係の雑誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
研究過程においてTUNEL法での蛍光免疫組織化学(IF)は規定症例数を完遂していない。そのため、予定していた経費に余剰がでたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
【消耗品】膵癌症例におけるモノクローナル抗体(AE1/AE3,D2-40,Victoria blue,Ki-67)を用いた免疫組織化学、TUNEL法によるapoptosis検出、蛍光免疫組織染色によるKi-67の核内発現の評価に必要な抗体,蛍光色素および封入剤(DAPI)の購入費として使用する。 【旅費】当該研究発表のための、国内旅費あるいは国外旅費として使用する。 【謝金等】当該研究成果を英文雑誌に投稿する予定であり、英語論文の校閲費、複写費、印刷費、研究成果投稿料、論文別刷費などの費用として使用する。
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