2014 Fiscal Year Research-status Report
3次元仮想現実感による胆膵外科手術支援システムの構築と評価
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26462073
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
中郡 聡夫 東海大学, 医学部, 教授 (10261918)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 隆史 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90308221)
盛川 浩志 青山学院大学, 理工学部, 助教 (90386673)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 画像抽出 / segmentation / 3DCG / OsiriX |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、研究初年度として3D映像作成における以下の二つのプロセス、①CTデータから血管と胆管の画像抽出(segmentation)②血管と胆管の3DCGの作成を、従来の方法からそれぞれ改良することによって3DCG作成までの時間短縮と、3DCGの品質向上を試みた。 segmentationにおいて、従来は3D画像構築用ソフトウェアForge (Studio Pon)またはZedView (レキシー)を用いていたが、本研究課題においては、人的および時間的コストも考慮に入れたワークフローの確立を考慮し、Mac OS X で動作する新しいsegmentation用ソフトウェアであるOsiriXを用いて、CTデータのsegmentationワークフロー構築にかかる検証を行った。その結果、CTデータから血管のsegmentationはOsiriXにより十分可能であったが、CTデータからの胆管のsegmentationは3DCGモデル作成には十分でなく、さらに工夫と改良が必要であること明らかとなった。胆管のCTデータのsegmentation方法の改良と工夫、またはMRIデータを用いた胆管segmentationも新たな方策として検討すべきと思われた。 血管と胆管の3DCGモデルの作成と編集においては、OsiriXに備えられているサーフェスモデル(surface model)の出力機能を用いてモデル出力を行った。従来は出力された3Dモデルを編集ソフトウェアのRapidForm (INUS Technology)にてデータの整形を行っていたが 、今回OsiriXで出力した3Dモデルデータの品質については 、3Dモデルのメッシュ形状処理用のオープンソースソフトウェアであるMesh Labを用いて精査を行った 。その結果 、良好なモデルデータが得られることが確認された 。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究活動としては 、Multi-Detector row CT(MDCT)によって得られた断層画像群から 、肝臓や膵臓といった臓器の表面形状と 、血管・胆管・膵管といった臓器内を走行する管状の組織を効率的に抽出(segmentation)し 、3DCG(Computer Graphics)モデルとして構成する手法について 、効率的なワークフローの検討を行った 。その結果 、3D映像作成における最も基本作業である、画像抽出(segmentation)と3DCG作成における新たなワークフロー構築がOsiriXを用いることで可能であった 。 しかしながら 、対象となる臓器のみに限定してモデルを構築したり 、管状の組織や極小さい組織のモデルを作成するためには 、断層画像から対象組織の抽出が必要となり 、その抽出が作業コストを増加させる要因となった 。得られた3Dモデルの精度は今後のVRコンテンツでの応用にも耐えうると考えられることから 、ほぼ予定通りに研究は進展していると言える。 また、編集された3Dモデルの観察において 、モデルを三次元的に操作可能なVRコンテンツとして呈示することが必要となる 。VRコンテンツを構築するVRオーサリングソフトとして 、従来はOmegaSpace (ソリッドレイ研究所)を用いていたが 、近年VRオーサリングソフトウェアの開発競争が急速に活発化してきており 、より高性能のソフトウェアが登場してくる可能性が高い 。そのため 、VRオーサリングソフトウェアの比較については 、当該分野の開発動向を精査した上で慎重に進めていくこととした 。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、さらに高解像度の3D画像構築を進めると共に、ユーザにとっての使いやすさや、手術シミュレーションで要求される画質に着目した評価を行う予定である。再建シミュレーションに用いる3DCGモデルとして、切除された血管同士または胆管と小腸を吻合するCG画像を作成し、モデル作成にかかる課題について明らかにする。 モデル作成において作業コスト増大の要因となるsegmentationについては 、画像処理研究分野においても大きな課題となっているため 、当該分野の知見を取り入れることで自動化や省力化が可能になると期待されるため 、積極的な情報収集と知見のワークフローへの適用を進めたい 。 また、作成した3Dモデルの観察における臨場感は、手術計画・手術シミュレーションの効果向上に影響する。そこで、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を用いた映像呈示手法ならびにインタフェースデザインについて検討を行う。また、人間の知覚特性を利用したより直感的な情報呈示やインタフェースの構築についても検討を行う。このような新しい映像呈示方式が、手術シミュレーションの効果に与える影響について、人間工学的な評価を通して検討する。 高臨場感での情報呈示手法の新たなパラダイムとして 、3Dプリンターによって実物として出力する手法に注目が集まっている 。近年は3Dプリンター技術が発達し、3Dモデルを実物として出力可能な環境を構築することが容易となっていることから、VRと現実世界を融合させた出力形態も実現可能となりつつある。手術および再建シミュレーションにおける3Dプリンター技術の応用についても試みる予定である。
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Causes of Carryover |
3DCG作成用PCおよび画像呈示用PCが予定より安く購入できたことに加えて、まだ作成画像が多くななかったため画像データ保存用のハードディスクなどを購入しなかったために次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、昨年予定していた画像データ保存用のハードディスクを購入する予定である。
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