2014 Fiscal Year Research-status Report
マイクロアレイを用いた膵癌進展におけるヒアルロン酸ネットワークの役割解析
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26462076
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
佐藤 典宏 産業医科大学, 医学部, 助教 (20423527)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 膵癌 / ヒアルロン酸 / 浸潤転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「マイクロアレイを用いた膵癌進展におけるヒアルロン酸ネットワークの役割解析」であり、本年度は膵癌細胞におけるヒアルロン酸の機能的役割に着目し、以下の実験を行った。
ヒアルロン酸と膵癌の浸潤・転移との関係を調べるため、膵癌をヒアルロン酸の産生促進剤の12-O-tetradecanoyl-phorbol-13-acetate(TPA)にて治療すると、膵癌の遊走能が著明に増加することを突き止めた。一方、ヒアルロン酸の産生阻害剤である 4-methylumbelliferone(4-MU)で治療すると、膵癌の遊走能は低下することが分かった(Cheng XB, Sato N, et al. manuscript in preparation)。また、われわれは、膵癌細胞をメチル化阻害剤である5-aza-2’deoxycitidine(5-Aza-dC)にて処理すると、培養上清中のヒアルロン酸濃度が上昇することを発見し、「ヒアルロン酸の産生を制御する遺伝子がエピジェネティックなメカニズムで調節されている」という仮説をたてた(Kohi S, Sato N et al. manuscript in submission)。
これらの結果より、①膵癌におけるヒアルロン酸はDNAメチレーションなどのエピジェネティックな機構で制御されており、②またヒアルロン酸は膵癌の浸潤・転移に深く関与していること、さらに、③ヒアルロン酸は膵癌の治療ターゲットとして重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに良好なデータが得られており、すでに2本の論文を英文科学誌に投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、さらにヒアルロン酸が膵癌の浸潤・転移に与える影響について詳細な検討を重ね、同時に当初の研究計画であるマイクロアレイを用いた発現変化の実験へと移行する予定である。
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