2016 Fiscal Year Annual Research Report
Functional analysis of hyaluronan network during pancreatic cancer progression using microarrays
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26462076
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
佐藤 典宏 産業医科大学, 医学部, 講師 (20423527)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ヒアルロン酸 / ヒアルロニダーゼ / KIAA1199 / 遊走能 / HYAL1 / RHAMM |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「マイクロアレイを用いた膵癌進展におけるヒアルロン酸ネットワークの役割解析」であり、本年度(最終年度)は膵癌細胞に対するヒアルロン酸ネットワークの発現およびその機能的役割について研究を行い、以下の所見を得た。
1) 膵癌におけるヒアルロン酸分解酵素(ヒアルロニダーゼ, HYAL1, HYAL2, HYAL3)の発現を検討し、このうちHYAL1が高発現していることを見いだした。また硫酸デキストランを用いてヒアルロニダーゼを阻害したところ、膵癌細胞の遊走能が低下した(Kohi et al. Pancreas 2016)。2) ヒアルロン酸の特異的レセプターRHAMMの発現が膵癌で亢進しており、高発現群は予後不良であった(Cheng et al, J Cancer 2016)。3) 膵癌細胞に対するヒアルロン酸の役割を解析するために、ヒアルロン酸を膵癌細胞の培養上清中に直接加えたところ、(特に低分子ヒアルロン酸は)細胞の遊走能が増加した。一方でヒアルロン酸の阻害剤を投与すると、膵癌細胞の遊走は阻害された。また膵癌細胞と線維芽細胞を共培養したところ、培養上清中のヒアルロン酸が著明に増加し、同時に膵癌の遊走能が増加した(Cheng et al. Oncotarget 2016)。4) ヒアルロン酸の新規分解酵素として最近発見されたKIAA1199(CEMIP/HYBID)が膵癌で発現が亢進しており、発現が高い患者の予後は不良であった(Koga et al, Pancreatology 2017)。5) 膵癌細胞においてKIAA1199の発現は炎症によって誘導され、膵癌細胞の増殖、遊走、浸潤能と関連していた(Kohi et al. Oncotarget 2017)。
以上の所見より、膵癌ではヒアルロン酸の産生、分解、およびレセプターへの結合によるシグナル伝達が亢進しており、この一連のプロセスは膵癌の進展に重要な役割を果たしていることが考えられた。
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