2016 Fiscal Year Research-status Report
インターロイキン-11の臨床外科領域への応用-大動物モデルによる前臨床試験-
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26462082
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
黄野 皓木 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (40375803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松宮 護郎 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (20314312)
石田 敬一 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任准教授 (40375671)
藤尾 慈 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (20359839)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | IL-11 / 心筋保護効果 / サイトカイン療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、心筋細胞保護作用を有するサイトカインであるインターロイキン-11(IL-11)を用いて、心臓外科領域における心血管病の新規治療法を確立することを目的とする。これまでの小動物を使用した模擬臨床実験では、IL-11は虚血再灌流障害縮小効果を有することが分かった。今回、本格的な臨床応用に向けて期間中に以下の実験を行う。
「大動物を使用した虚血再灌流障害抑制効果に関する検討」:臨床応用への最終段階として、大動物(ブタ)を用いた異所性心臓移植を行う。摘出前と移植前後のドナー心にIL-11を心筋保護液として投与し、移植後の再灌流障害抑制効果を病理組織学的および病態生理学的に評価し、IL-11投与群と非投与群で比較検討する。 ドナーとなる1頭を用意し、全身麻酔導入中にIL-11を経静脈的に投与(プレコンディショニング)した後、大動脈遮断の際に通常の心筋保護液を冠動脈に還流させ心臓を摘出。摘出した心臓は人間のドナー心冷却保存法と同様に、冷水冷却させたのち一定時間(4時間)アイスボックスに入れて保管。レシピエントとなる1頭は同様に全身麻酔で開胸し、心拍動下のままドナー心をレシピエントの心臓に移植。異所性移植はドナー心の大動脈をレシピエントの大動脈に、ドナー心の肺動脈をレシピエントの右心房または上大静脈に吻合することにより完成する。ドナー心の再灌流直前に、加温した心筋保護液と一緒にIL-11を冠動脈に還流させ(ポストコンディショニング)、虚血を解除する。
上記の異所性心臓移植手術については、動物実験の3Rを意識し行わなければならず、そのためには入念な準備や技術習得が必要である。当大学では前例がないため、器具・機材・薬物の準備、人員の確保、安全に行うための手法の調査および研修、さらにその他の業務の多忙で、大幅に遅れているが、現在IL-11投与群、非投与群ともにデータを蓄積している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究はブタを用いた異所性心臓移植を行い移植後の心機能の経時的変化及び病理組織学的変化をIL-11投与群と非投与群で比較するものである。小動物を用いた予備実験は既に終了しているが、大動物を用いた異所性心臓移植手術については当大学では前例がないため、器具・機材・薬物の準備、人員の確保、安全に行うための手法の調査および研修、さらにその他の業務の多忙で、大幅に遅れている。また、熟練者と共同で初回の手術を行う予定であるが、双方の時間の調整がつかないことも要因となっている。現在、準備が整った段階に来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の研究が未完のため、平成29年度は引き続き実験を進行するが、研究最終年度のため、遅れを取り戻すためには、今までよりハイペースで実験を進める必要があるが、動物実験の3Rを意識し実験を行う。
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Causes of Carryover |
研究を進めていく過程で、文献調査・技術習得が十分でなかった。病理組織学的評価を予定より多角的に検討していくこととなった。その中で使用予定であった染色用試薬が入手困難であり、代替となるものが年度内に入手が困難であったため、次年度使用が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、平成28年度予算の残額およそ175万円であり、その多くは物品費(大動物の購入やIL-11の購入)に充てられる。残額の分配は、重要度に応じて各必要経費(旅費、人件費、謝金等)へ割り当てられるが、それらの経費については出費額は低く研究遂行において障害となる可能性は低い。
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