2016 Fiscal Year Research-status Report
抗BTLA抗体とHMG-CoA還元酵素阻害薬による冠動脈内膜肥厚抑制効果の解析
Project/Area Number |
26462093
|
Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
原 真範 帝京大学, 医学部, 助手 (90385849)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内山 雅照 帝京大学, 医学部, 助手 (60713295)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | BTLA / HMG-CoA還元酵素阻害薬 / 冠動脈 / 心臓移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
臓器移植における最大の課題である拒絶反応は急性拒絶反応に関しては免疫抑制剤やステロイド等の投与方法や開発により、移植成績は良好な傾向となった。しかし、従来型免疫抑制剤の長期投与では副作用の増加と医療費の向上を引き起こし、治療プロトコールの改善が待たれている。我々はマウス心臓移植モデルに免疫抑制効果を持たないと考えられている数種類の西洋薬を用いて、免疫抑制効果の有無を調査してきた。今回、HMG-CoA還元酵素阻害薬(プラバスタチン)の心臓移植片に対する抗炎症効果を検討し、同時に抗BTLA抗体との組み合わせによる相乗効果を調査し、免疫制御細胞の誘導の有無と慢性拒絶反応制御の解析を行った。 プラバスタチン・シンバスタチン等のHMG-CoA還元酵素阻害薬に関する基礎研究、臨床研究は数多く行われ、各診療科における一定のコンセンサスを得ているように思われる。特に、循環器科に関する報告は数多く、HPS(Heart Protection Study; Lancet 378:2013-2020. 2011)等のmeta-analysisがその根幹を支えており、長期投与における狭心症、心筋梗塞に代表される冠動脈イベントリスクの減少やそれを誘因する動脈硬化の抑制効果が期待できるとされている。 平成26年度はプラバスタチンを拒絶が完了するまで経口投与し、心臓移植片の生着延長を調査した。平成27年度は平成26年度の実験を進め、3ug/dayと30ug/dayを投与した群の生着延長期間を調査した。また、抗BTLA(B and T Lymphocyte Attenuator)抗体を併用した群も作成し、50日以上の生着延長効果を確認した。 平成28年度はBTLA抗体投与、スタチン投与群それぞれの生着延長を確認すると共に、移植心の冠動脈内膜変化を組織免疫学的に評価した。冠血管周囲にCD4+CD25+制御性T細胞の誘導を認め、同時に冠動脈内膜の増生が抑制されていた。現時点での解析をTransplantationやJournal of vascular Researchに報告予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・プラバスタチン1ug/day投与群、3ug/day投与群、10ug/day投与群、30ug/day投与群、100ug/day投与群を作成。 ・抗BTLA抗体による生着延長効果の確認。 ・抗BTLA抗体とプラバスタチン投与による生着延長を確認し、心臓グラフトを採取。 ・生着した各群の冠動脈評価中。
|
Strategy for Future Research Activity |
・平成28年度の実験を更に進めると同時に実験を論文化する。また、時間が許せば、長期生着グラフトを持つレシピエントの血清からドナー特異的抗体の産生を評価する。
|
Causes of Carryover |
・マウス繁殖が予想より順調であり、追加購入するマウスが少なかったため。 ・手術用機材、薬剤(麻酔薬、縫合糸など)を節約し、当該年度の追加購入を控えることが出来たため ・平成28年度までの結果をまとめ、2本の論文を作成し提出している段階であり、論文掲載料を算定したため。また、追加実験を要する事態も想定している。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度研究経費は消耗品と論文投稿費用である。研究設備は既存の設備(新見正則研究室)で全く問題ない。移植にはマウスがレシピエントとドナーで2匹必要である。CBAとC57BL/6はそれぞれ2000円程度であり、1移植あたり4000円が必要となる。このマウス購入費を減らすために、帝京大学中央動物センターと研究室においてマウスの交配を行っている。交配させるマウスの購入は必要であるが、すべての実験に必要な数を購入するよりも約10分の1となる。飼育費用は別途必要で、この研究計画書の実験を行うには交配用マウスの購入費用とマウスの飼育費用で約20万円となる。その他に、実験の基礎となる手術用麻酔や縫合糸などで約10万円必要である。免疫学的解析費用は細胞分離用のビーズやフローサイトメトリー用抗体、サイトカイン測定キット、リンパ球培養キットのものである。
|
-
-
[Presentation] Anti-CD272 antibody (6B2) induced prolongation of fully MHC-mismatched murine cardiac allograft and generation of Foxp3+ regulatory T cells2017
Author(s)
Masateru Uchiyama, Xiangyuan Jin, Enzhi Yin, Takako Yanagisawa, Akira Inoue, Masanori Hara, Shigefumi Matsuyama, Tomohiro Imazuru, Hideo Yagita, Masafumi Kawamura, and Masanori Niimi
Organizer
アジア移植学会2017
Place of Presentation
フィリピン・セブ
Year and Date
2017-11-27 – 2017-11-30
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-