2014 Fiscal Year Research-status Report
スタフィロキナーゼによる革新的脳塞栓症治療法の確立
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26462149
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
嶋村 則人 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40312491)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | スタフィロキナーゼ / 脳塞栓症 / 脳梗塞 |
Outline of Annual Research Achievements |
心原性脳塞栓症モデルを用いて、Sham群、血栓のみ(PBS群)、組織プラスミノーゲンアクチベーター600μg投与(t-PA群)、SAK 200μg投与(SAK200群)、SAK 400μg投与(SAK400群)の5群を作成し、比較研究した。 脳梗塞後24時間において、神経学評価及び梗塞体積計測を行った。SAK 400群は、PBS群やSAK200群と比較して皮質梗塞体積、基底核梗塞体積ともに有意に小さく、神経脱落症状も同様に有意に軽症であった。SAK400群とt-PA群との間には、梗塞体積と神経学共に有意差を認めず、SAK400群が良好な傾向が見られた。 Nissle染色では神経脱落部位が明瞭化し、Penumbra領域が明らかとなった。IgG染色では、PBS群とSAK200群では梗塞域全体に陽性所見が見られた。t-PA群では基底核の毛細血管周囲に陽性所見が見られた。SAK400群ではIgG陽性が見られず、血液脳関門(BBB)の温存が示唆された。MMP-9染色では、PBS群、t-PA群で血管内皮に強陽性がみられた。これは脳梗塞域およびPenumbraで見られた所見であり、BBBの障害を表している。SAK200群の血管内皮ではMMP-9は弱陽性で、SAK400群では陰性であった。LRP-1染色では、PBS群、t-PA群の血管内皮が強陽性を示した。神経細胞にも弱陽性所見が見られた。SAK200群の血管内皮および神経細胞は弱陽性であり、SAK400群は陰性であった。 以上から、SAKは用量依存性に脳梗塞体積を減少させ、神経学的改善ももたらす。更にSAK 400μg投与はt-PA 600μg投与と同等の脳梗塞軽減と神経機能改善をもたらした。作用機序としては、SAKはt-PAと比較して、MMP-9やLRP-1を介したBBB障害が少ない子とが推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画で規定した3年間で4段階のステップの第2段階まで到達できている。
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Strategy for Future Research Activity |
より詳細な作用機序について、PCR法やWestern blotting法を用いて研究を進める。また、他剤併用による脳梗塞改善策についても検討を行う。
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Causes of Carryover |
実験動物の死亡率が低く、動物購入費や試薬の購入費が安価に抑えられたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の解析項目を増やすために試薬等を購入し、実験充実を図る。
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