2014 Fiscal Year Research-status Report
トランスクリプトーム解析を基盤にした膠芽腫形成の分子メカニズム解明と治療への応用
Project/Area Number |
26462185
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉本 幸司 九州大学, 大学病院, 講師 (70444784)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 信哉 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (20553283)
溝口 昌弘 九州大学, 大学病院, 講師 (50380621)
天野 敏之 九州大学, 大学病院, 助教 (70448413)
飯原 弘二 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90270727)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 膠芽腫 / mesenchymal / proneural |
Outline of Annual Research Achievements |
グリオーマ診断におけるIDH変異などのゲノム変化の意義はすでに確立されている。我々はこれらのゲノム変化に加え、膠芽腫治療における遺伝子発現による分類法、特にmesenchymal, proneural phenotype に着目して本年度の研究を行った。まず当院で手術を行った101例の膠芽腫について凍結標本からRNAを抽出し以下の遺伝子の発現をreal time RT-PCR法を用いて正常脳組織をコントロールとして発現量の相対定量を行った。 Mesenchymal markerとしてYKL-40, CD44, Vimentin、RELB, TRADD, PDPを、Proneural markerとしてDLL3, Olig2, BCAN, NCAM1, NKX2.2, ASCL1のそれぞれ6つずつのマーカーを選択し、それぞれの平均値としてMES score, PN scoreを算出した。さらに両者の差であるP-M score (PN score – MES score)を定義した。その結果、P-M score を計算することでマイクロアレイによる分類法を用いなくても、簡便にmesenchymal, proneural な性質を示す膠芽腫を同定することができた。次にこれらの遺伝子発現とエピジェネティックス関連の遺伝子発現との相関を解析したところHDAC7がmesenchymalマーカーとの高い相関を示すことを明らかにした。一方、proneuralマーカーはKDM1A, 2B, 5A, 6B, HDAC4, 5, 9, SIRT1-7など多くの遺伝子発現との相関があり、proneuralな性質を示す膠芽腫はエピジェネティックス制御を受けている可能性が示唆される結果であった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目的であるトランスクリプトームに基づいた膠芽腫の分類法を確立できた。またこれらの結果に基づいてエピジェネティックス関連の遺伝子発現との相関を解析し、HDAC7がmesenchymalマーカーとの高い相関を示すことを明らかにしたことは新たな知見である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はHDAC7がmesenchymalな性質にどのように関与しているかについて基礎的な研究を行う予定である。またproneuralタイプについてもエピジェネティックスの観点から更なる研究を推し進める予定である。
|
Causes of Carryover |
本年度の実験が順調に進行し、試薬等の購入が現時点では必要なかったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
試薬などの購入に充てる予定
|
Research Products
(4 results)