2015 Fiscal Year Research-status Report
肉腫に対する熱ストレス蛋白抑制技術を用いた断端処理方法の開発
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26462273
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
寺内 竜 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20575154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 寿治 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20397186)
新井 祐志 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50347449)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 骨肉腫 / Hsp70 / siRNA / シスプラチン / アポトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
Heat shock protein70 (以下Hsp70) は,がん細胞において高率に発現しており,抗がん剤の治療効果を減弱させ,悪性度や予後と相関することが報告されている.がん細胞におけるHsp70の発現を抑制することができれば,抗がん剤の効果を増強出来る可能性がある.本研究の目的は,骨肉腫細胞株に発現しているHsp70をsiRNAを用いて抑制し,その条件下での抗がん剤の増感効果と増感メカニズムを明らかにすることである. 平成27年度はヒト骨肉腫細胞株におけるHsp70の発現をreal-time RT-PCR法,Western blot法を用いて確認した.ヒト骨肉腫細胞株の一種であるMG63を用いて,それらをcontrol(siRNA非導入)群,negative control-siRNA群,Hsp70-siRNAの3群に分けた.抗がん剤は骨肉腫に対して臨床で第1選択薬として使用されているシスプラチンを選択した.MG63にシスプラチン(以下CDDP)を添加することにより,Hsp70の発現が上昇すること,Hsp70-siRNAによってHsp70の発現が抑制可能であることをWestern blot法を用いて確認した.3群に対してCDDPを添加し,48時間後のIC50値(50%阻害濃度)を計測して比較した.また,CDDP添加前後のアポトーシス活性をTUNEL法,Caspase-3/7活性測定法を用いて評価した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MG63においてHsp70の発現を認め,CDDPの濃度に伴ってHsp70の発現が上昇した.CDDP添加後もHsp70-siRNAによるHsp70の抑制効果は保たれていた.IC50値はHsp70-siRNA群で有意に低下していた.Hsp70-siRNA群において, TUNEL陽性細胞率は最も高く, Caspase3の活性も有意に上昇していた.
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Strategy for Future Research Activity |
以上の結果から,骨肉腫細胞に発現するHsp70を抑制することにより,抗がん剤の増感効果とアポトーシス誘導効果を認めた.平成28年度以降は骨肉腫モデルマウスを作成し,siRNA導入法やその条件下での抗がん剤の効果の検討を行う予定である.また,シスプラチン以外の抗がん剤においてもHsp70を抑制することで増感効果を示すことが可能であるか検討する予定である.
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