2014 Fiscal Year Research-status Report
VPAC2 アゴニスト発現ベクター構築と肺高血圧治療
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26462342
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
水野 祐介 横浜市立大学, 医学部, 講師 (80433192)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 至 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員教授 (20534142)
新堀 博展 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員准教授 (60404993)
川上 裕理 横浜市立大学, 医学部, 助教 (90407958)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 肺高血圧 / VPAC2 / MSC |
Outline of Annual Research Achievements |
神経伝達物質VIPは肺高血圧症(PH)治療薬の一つとされながら、多様な生理活性や半減期から評価は確立していなかった。我々はVIP関連受容体の内VPAC2 agonistのみVIPより優れPGI2に匹敵して肺動脈圧低下、心拍出量増加させることを確認した。PH治療薬として持続投与による治療効果判定が必要だが、吸入、全身投与は煩雑さ、副作用等の問題があり、肺に適した遺伝子導入法は確立されていない。近年、遺伝子導入ベクターとして間葉系幹細胞MSCが注目され、静注で肺にトラップされるため、ウイルスベクターで問題だった導入効率、安全性、安定性の改善が期待されている。本研究はVPAC2 アゴニスト遺伝子導入MSCを用い、VPAC2 アゴニストの新たなPH治療薬の可能性を検証し、また他の肺疾患に応用できるMSC vectorの肺局所的、安定的遺伝子発現法の確立を目指す。
本研究においてまず、肺高血圧ラットを用い、VPAC2アゴニスト及び他のVIP, PACAPアナログ等の静脈内投与を行い、右室圧低下、心拍出量増加作用等、血行動態的に検討した。その結果、肺高血圧モデルにおいてVPAC2アゴニストのみ右室圧低下、心拍出量増加作用を認めた。VIPも同様の傾向を示したが、心拍出量の増加は有意ではなかった。他のVIP, PACAPアゴニストは右室圧低下作用を認めなかった。以上から、VPAC2アゴニストの長期投与による肺高血圧治療の可能性の検討に進んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究においてまず、肺高血圧ラットモデルを用い、VPAC2アゴニストの静脈内投与によりに、右室圧低下、心拍出量増加作用を検討し、その効果を血行動態的に確認した。 次に、VPAC2の長期投与を行うため、VPAC2アゴニストの長期投与及び、アゴニスト遺伝子導入MSCを用いた肺組織での発現実験を行っている。 VPAC2アゴニストの長期投与は投与量、間隔、投与経路等の条件検討を行い、効果は血行動態的に行っている。 一方、VPAC2遺伝子導入MSCを用いた実験においては、様々な遺伝子導入条件を検討している。予想された通り、HEKなどの一般的細胞に比較しMSCは導入効率、発現量が少いが、現在レンチウイルスベクターを作成し、これによるMSCへの遺伝子導入条件を検討している。 またMSC自体のラットに対する影響を検討するため、正常ラットに遺伝子未導入のMSCの静脈内投与を行い、安全性の検討を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
VPAC2アゴニストのラット肺高血圧モデルに対する右室圧低下、心拍出量増加作用は静脈内投与では証明された。今後、VPAC2遺伝子導入MSCを用いた実験においては、様々な遺伝子導入条件を検討している。予想された通り、HEKなどの一般的細胞に比較しMSCは導入効率、発現量が少なかった。現在、遺伝子導入効率を改善させるため、レンチウイルスベクターを作成し、これによるMSCへの遺伝子導入条件を検討している。 またMSC自体のラットに対する影響を検討するため、正常ラットに遺伝子未導入のMSCの静脈内投与を行い、安全性の検討を行った。
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Causes of Carryover |
VPAC2 アゴニストの単回静脈注射による肺高血圧に対する効果を確認後、VPAC2長期投与の効果を評価する段階に進んだ。ベクターとして使用予定のMSCの培養条件および安全性の検討に時間を要し、VPAC2アゴニスト発現ベクターをまだ検討段階である。従ってこのベクターを使用する予定だった動物実験に至っていない。 また、これら影響でVPAC2 アゴニストの長期間欠的投与実験は、予定した回数の実験を行えなかったため、次年度の使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
26年度に行えなかったVPAC2アゴニストの長期間欠的投与方法の確立、およびVPAC2アゴニスト発現MSCの確立を行い、これを肺高血圧モデルに投与し、治療効果を検討していく予定である。
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