2015 Fiscal Year Research-status Report
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26462532
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
趙 娟 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20381890)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三好 一郎 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10183972)
山下 依子 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90303643)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 卵巣がん / 動物モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
上皮性卵巣がんは早期から腹膜転移を起こして婦人科悪性腫瘍の中でも最も予後不良な癌種であるが、その発症機序は依然として不明のままである。近年、卵巣漿液性腺がんの発生母地は卵管上皮細胞であるという新たな仮説が提唱されている状況のもと、卵管上皮細胞由来の卵巣がんを発症する動物モデルの確立は強く望まれている。マウス卵管特異的糖タンパク質遺伝子(OGP)のプロモーター制御下でSV40ラージT抗原遺伝子を発現するトランスジェニック(OGPTag Tg)雌マウスが雌性生殖器で腫瘍を形成することが報告されている。本研究では、卵管上皮細胞由来卵巣がんを発症する動物モデルを確立し、それを用いた発がん及び腹膜転移メカニズムの解明を目的として行った。 まず、OGPTag Tgマウスにおける腫瘍の病理組織的な解析を行った。OGPTag Tgマウスは漿液性卵管上皮がんを発症し、その50%以上は上皮性卵巣がんの病理組織像を示した。また、卵巣の摘出あるいは移植、卵管の摘出などにより、OGPTag Tgマウスにおける卵巣がんの発生は卵管由来であることを明らかにした。以上のことからOGPTag Tgマウスは、卵管上皮由来卵巣がんを発症する動物モデルとして確立できた。さらに、新たに4匹のOGPTag Tgマウスの卵巣腫瘍組織より卵管上皮由来の卵巣がん細胞株を樹立した。昨年度に樹立した2つの細胞株を合わせて6種類の細胞株を同腹他個体マウスの腹腔内に移植し、腹膜転移モデルの作製を試みた。しかし樹立した細胞株は腹膜への着床が認められなかった。腹膜転移モデルの作製にあたり、樹立した細胞株へ新たな遺伝子導入を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的に沿って、平成27年度は計画通りOGPTag Tgマウスの卵巣腫瘍組織から新たな培養細胞株を樹立し、それによる自然卵巣がん腹膜転移モデルの作製を試みた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、OGPTag Tgマウスの腫瘍組織から樹立した培養細胞株に新たな遺伝子を導入し、転移能を持つ細胞株を作製するとともに、これらの細胞を用いた腹腔内移植による自然卵巣がん腹膜転移モデルの作製を試みる。または網羅的な遺伝子解析による卵管上皮細胞由来の卵巣がんにおける特異的分子を特定する。
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Causes of Carryover |
樹立した細胞株を用いた腹膜転移モデルの作製が失敗したため、細胞の特性解析など費用の余りが生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き研究に使用する消耗品の購入を中心に、マウスの系統維持と腹膜転移モデル作製に使用する。また、繰越金を細胞に新たな遺伝子導入に充てる予定である。
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