2016 Fiscal Year Research-status Report
加齢性難聴発症の病態解明―脳血管障害との関係についての研究
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26462552
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
森田 由香 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (60547602)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 加齢性難聴 / 脳血管障害 / 認知機能障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢性難聴は人類に最も多い慢性疾患であり、さまざまな加齢性疾患と関連があると推定されている。本研究では、加齢性難聴と脳血管障害やこれに伴う認知機能低下など脳高次機能障害との関連を検討する。最終的には加齢性難聴の治療や発症予防により、脳高次機能障害を予防し、高齢者の健康寿命を延長させることを目指している。 これらの目的のもと、本研究では二つの柱で研究計画をたてていた。ひとつは脳血管障害モデルマウスを用いた加齢性難聴の発症時期とその程度をみるものである。先行実験と同様のシステムで経時的な聴力測定を行ったものの、モデルマウスとコントロールで明らかな差は認められなかった(昨年度報告済)。脳血管障害以外にも複数因子が関与して発症するものと思われ、薬剤による負荷実験も検討したが、十分な結果を得ることができず、こちらの系は一旦中止している。もうひとつは、離島でのヒトにおける疫学調査である。病院ベースの疫学調査ではあるが、登録症例数は3000例を超え、順調に症例は蓄積されている。前回までに、脳MRI白質病変との相関は明らかではなかったが、認知機能低下と聴力経過は有意な関連性を見いだせた。現在は、どの脳高次機能とより関連がみられるか、認知機能検査の小項目ごとに検討を加えている。 聴力検査の結果がえられるものは1000例程度と考えているが、登録施設での人員不足により、聴力検査情報の入力、当方への情報提供に遅れがでている。そのため、研究期間を延長して、最終年度にデータをまとめる予定とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動物実験において、予想に反して、大きな違いが得られずに、負荷実験が必要となった。しかし、こちらも具体案がなく、脳血管障害マウスを用いた系は中止した状態である。一方、ヒトを対象とした疫学調査に関しては、順調に登録数はのびたものの、データ登録に携わる人員の確保が困難な時期ががあり、停滞した。
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Strategy for Future Research Activity |
脳血管障害マウスを用いた系での実験は現状では推進困難である。そのかわり、ヒトを対象とした疫学調査に関しては、データが増加しており、研究期間を延長してデータ解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
動物実験ができなかったため、動物購入維持、試薬の資金が不要であったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度であり、疫学調査とその結果のまとめを行い、学会で発信していく。
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