2015 Fiscal Year Research-status Report
インフルエンザ菌バイオフィルムに対する抗菌薬の薬物動態についての研究
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26462565
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
竹井 慎 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (40347589)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土橋 重貴 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (40725553)
戸川 彰久 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (70305762)
山内 一真 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (80336891) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | インフルエンザ菌 / バイオフィルム / 抗菌薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
無莢膜型インフルエンザ菌(NTHi)のバイオフィルムが、中耳炎難治化と関係することが報告されている。抗菌薬のMIC値は臨床的効果と一致しないことがあり、バイオフィルム内細菌に対する効果を評価する必要がある。今回われわれは、NTHi形成バイオフィルムに対する抗菌薬の有効性について検討した。小児急性中耳炎症例から分離されたNTHi株を培養しバイオフィルムを形成させた。段階希釈した抗菌薬を加え、バイオフィルム量の評価をクリスタルバイオレット法で、バイオフィルム内細菌を殺菌する抗菌薬濃度を最小バイオフィルム抑制濃度minimal biofilm eradication concentration(MBEC)として評価した。また、バイオフィルム形成後の経過に伴う抗菌薬効果の変化について検討した.浮遊菌に比べ、バイオフィルム状態の細菌ははるかに強い抗菌薬抵抗性を示し、アモキシシリン(AMPC)の添加ではMIC以上の濃度であっても抗菌作用を示さなかったがクラリスロマイシン(CAM)は抗バイオフィルム作用を示した。CAMは肺炎球菌の病原因子である莢膜を菲薄化させ,インフルエンザ菌の産生するバイオフィルム形成を抑制することにより中耳炎の病態を改善する可能性が示唆されたため,今回,CAMの併用効果を検討した.中等症の小児中耳炎に対してAMPC治療群(AMPC治療群;AMPC 70㎎/㎏/日,5日間投与)と治療開始時からCAMを3日間併用した群(CAM/AMPC治療群;CAM 15mg/kg/日,3日間投与 + AMPC 70㎎/㎏/日,5日間投与)の中耳炎の症状スコアと,急性鼻副鼻腔炎合併例では,その症状スコアの比較検討を行った.治癒がCAM/AMPC治療群で85.2%であり,AMPC群で55.9%であり,CAM/AMPC治療群で有意(p=0.0327)に治癒判定が高かった.また、合併する急性鼻副鼻腔炎の症状消失率では,試験薬投与5~7日後でCAM/AMPC群が50.0%,AMPC群が28.6%であり,CAM/AMPC治療群で有意(p=0.0135)に高い消失率が認められた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動物実験でのバイオフィルム形成に対する抗菌薬の効果の検討について遅れが生じているため
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Strategy for Future Research Activity |
今後はプレート上に作成したバイオフィルムに対する抗菌薬の効果をその投与量、投与方法を変化させて検討すると同時にチンチラを用いた動物実験でバイオフィルムに対する抗菌薬の効果を検討する。
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Causes of Carryover |
動物実験を中心に実験の遂行が遅れているため予算を次年度に繰り越す必要が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
抗菌薬の投与方法によってバイオフィルムに対する無莢膜型インフルエンザ菌に対する効果がどのように変化するかをまずプレート上で抗菌薬の投与方法を変化させて検討する。またチンチラを用いた動物実験でもバイオフィルムが抗菌薬でどのように変化するかを検討する。そのため細胞の培養試薬、最近培養試薬、バイオフィルム検出試薬、動物の購入費および飼育費などに研究費を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)