2015 Fiscal Year Research-status Report
好酸球性副鼻腔炎におけるNKT細胞の役割と新しい治療戦略
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26462575
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高木 大 北海道大学, 大学病院, 講師 (60374427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中丸 裕爾 北海道大学, 大学病院, 講師 (20344509)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 好酸球性副鼻腔炎 / サイトカイン / iNKT細胞 / HDAC活性 |
Outline of Annual Research Achievements |
好酸球性副鼻腔炎は近年国内外で増加しており、その多くは気管支喘息を合併している。治療はステロイドや手術療法が中心であるが、高率に再発をきたし、時に喘息症状の増悪により致命的になる。ステロイド離脱困難症例も多く、根治を期待できる方法は未だ開発されていないのが現状である。 近年、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの下気道疾患において、インバリアントiNKT細胞の作用、また、一方で遺伝子転写活性化を抑制するものとして、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)の役割が注目されている。本研究では、好酸球性副鼻腔炎の病態を解明する目的で、HDACがiNKT細胞の機能制御にどのように関連し、また病態にどのような影響をおよぼしているのか検討を行っている。本年度は好酸球性副鼻腔炎患者、非好酸球性副鼻腔炎患者から末梢血単核球(PBMC)および手術にて切除したポリープを採取し、解析を行った。 また、手術治療を行った好酸球性副鼻腔炎患者、非好酸球性副鼻腔炎患者の術前、術後の血液中の好酸球数、血清IL-5、IgE、呼吸機能を測定し検討した。その結果、好酸球性副鼻腔炎患者では術後早期に好酸球数、血清IL-5が低下することが確認された。手術治療のみでは有意な呼吸機能の改善は認められなかった。今後、HDACの活性と好酸球性副鼻腔炎の予後、血液中好酸球およびiNKT細胞の機能との関連についても検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
好酸球性副鼻腔炎患者からPBMCを採取し、whole cell extractionを用いてタンパクを抽出し、HDAC活性を測定しているが、そのデータ収集に予定より時間を要している。 これまで、好酸球性副鼻腔炎患者の術前、術後の血液中の好酸球数、血清IL-5、IgE、呼吸機能を測定し、好酸球性副鼻腔炎患者において術後に好酸球数、血清IL-5が有意に低下していることが確認された。また、術後早期に有意に好酸球数が低下する症例は、その後再発をきたしやすいことが確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
好酸球性副鼻腔炎患者、非好酸球性副鼻腔炎患者における血液中のiNKT細胞数、およびそのサイトカイン産生能をフローサイトメトリーを用いて解析する。 好酸球性副鼻腔炎患者、非好酸球性副鼻腔炎患者のPBMC、切除標本におけるHDAC活性を比較検討する。 好酸球性副鼻腔炎患者、非好酸球性副鼻腔炎患者のPBMCを酸化ストレス(H2O2)にて刺激し、各種サイトカインの変動を検討する。また、iNKT細胞の機能を検討する。
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Causes of Carryover |
国際学会出席のための海外出張旅費が、当初の予想よりも低く抑えられたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度同様に国際学会に出席し、研究成果の発表を行う予定である。また、引き続き実験を実施するために試薬を購入予定である。
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