2015 Fiscal Year Research-status Report
Toll様受容体アゴニストを用いた上気道粘膜免疫誘導と機序の解明
Project/Area Number |
26462585
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
鈴木 正志 大分大学, 医学部, 教授 (60211314)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門脇 嘉宣 大分大学, 医学部, 助教 (10706980)
平野 隆 大分大学, 医学部, 講師 (20305056)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 中耳炎ワクチン / インフルエンザ菌 / 粘膜アジュバント |
Outline of Annual Research Achievements |
外来微生物に対する生体防御機構において自然免疫および獲得免疫の関与は非常に重要である。monophosphoryl lipid A (MPL)は TLR4 agonistの1つであり、全身免疫としてのワクチンアジュバントとして実際の臨床に応用されており、肺炎球菌ワクチンや子宮頸癌予防ワクチン等に使用され安全性も確立されている。今回、我々はMPLを粘膜アジュバントとして用いて鼻咽腔粘膜関連リンパ組織における粘膜免疫応答について検討した。 実験動物はSPF下にて飼育した、雄性、 6週令、BALB/cマウスを用いた。ワクチン抗原として無莢膜型インフルエンザ菌strain76から抽出した外膜蛋白(OMP)を用い、人工合成したMPLを粘膜アジュバントとして使用した溶液を10μlづつ週1回計3回経鼻免疫を行った。対照はリン酸緩衝液(PBS)投与マウスとした。経鼻免疫後21日目に、鼻粘膜関連リンパ組織、頸部リンパ節、脾臓を各マウス5匹から採取し、スチールメッシュを用いて各組織の懸濁液を作成し、鼻粘膜懸濁液はパーコールを用いた比重遠沈法にて単核球を採取した。各組織から得られた単核球をCD11c、IA/IE染色し、各組織中の樹状細胞比を計測し、またCD11c陽性細胞をCD11b、CD80およびCD86にて染色する事により、骨髄系樹状細胞における活性化率について検証した。MPLを粘膜アジュバントとして用いた場合は、鼻粘膜関連リンパ組織、頸部リンパ節、脾臓における樹状細胞数の増加を認め、骨髄系樹状細胞における活性化率も増加していた。前回は鼻腔洗浄液中のインフルエンザ菌の鼻咽腔クリアランスは対照群と比較して、MPL投与群では促進しており、MPL投与群において鼻腔洗浄液についてはOMP特異的IgA、血清ではOMP特異的IgGの上昇が認められており、これらのより強固な免疫誘導は、各種免疫組織における樹状細胞数の増加と、骨髄系樹状細胞における活性化率に関与するものと思われた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ワクチン投与マウスにおいて、対照としたリン酸緩衝液(PBS)投与のみならず、OMP投与マウスと比較しても、粘膜アジュバントの効果が鼻粘膜関連リンパ組織、頸部リンパ節、脾臓などのリンパ組織中心に樹状細胞数の増加と活性化を認める事が一因と推測できるデータが得られたから。
|
Strategy for Future Research Activity |
MPL経鼻投与における粘膜免疫応答のさらなる検証を行う。 次にMPLと共にOMP/経鼻ワクチン投与モデルに対して、中耳炎粘膜、鼻粘膜、肺組織、唾液腺、腸管粘膜、NALT 頸部リンパ節、脾臓など粘膜およびリンパ組織における樹状細胞の活性化、T細胞の相互作用についてCD3,CD4, CD8, CD11c, CD123,CD25など各単核球マーカー染色により免疫担当組織以外の粘膜組織における動態や活性化について対照マウスと比較検討を行う。樹状細胞においてはplasmatoidおよびmyeloid typeまた磁気分離式セルソーターを用いて、MPL刺激における樹状細胞の応答についてbioplex cytokine assay、real time RT-PCRなどを行いて、樹状細胞のMPL刺激によるサイトカイン発現について測定する。また、可能であれば各種粘膜組織における様々なヘルパーT細胞、細胞障害性T細胞、制御性T細胞、Th17細胞などを分離採取のちに、各粘膜組織とくに鼻粘膜におけるサイトカイン、ケモカインなど各種mRNAレベルにおいて発現動態についても検討を行う。免疫組織学的検討や共焦点レーザー顕微鏡による組織学的検討も含めて樹状細胞やリンパ球における免疫学的動態について検討を行う。
|
Causes of Carryover |
マウスを用いた検討を行っており、Flowcytometryによる解析やBioplex cytokine assayなどの追加の実験を今後もする予定ではあるが、実験にはまとまった試料が必要であり、現在試料採取を継続している状態である。その分の検討が次年度に持ち越されるために、残額が生じている。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後は、マウスの各種リンパ組織からのflowcytometric analysisを樹状細胞のみならず、T,B細胞含めて検討する予定であり、マウス鼻腔および血清のみならず、樹状細胞の培養実験において上清を含めてBioplex cytokine assayを行う予定にしている。
|
Research Products
(1 results)