2015 Fiscal Year Research-status Report
眼慢性移植片対宿主病における老化細胞とドナー間葉系幹細胞の役割と治療法の開発
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26462668
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小川 葉子 慶應義塾大学, 医学部, 特任准教授 (30160774)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ドライアイ / 眼免疫 / 老化細胞 / 慢性移植片対宿主病 / 造血幹細胞移植 / 間葉系幹細胞 / マクロファージ / 線維化 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は眼GVHDの線維化にドナー由来新鮮骨髄間葉系幹細胞(MSC)が主要な役割を担い老化マクロファージとの相互作用が関与する事を見いだした。ヒト眼GVHDの病態を反映するマウスGVHDモデルにより、次の点を追究した。1) 眼GVHDにおけるドナーMSCとマクロファージの局在と相互作用を確認した。2) MSCと免疫担当細胞の相互作用による眼GVHDの発症と慢性化の分子機構の解析をすすめ成果をまとめて論文掲載に至った。Ogawa Y, et al. eLife 5:e09394;2016.
1)眼GVHDの発症時期の免疫応答と線維化機構を検証するために、マクロファージおよびドナーMSCの遊走経路や病変部位での関わりを明らかにした。2)マクロファージがドナーMSCの遊走を促す因子を放出する可能性を追究しMSCの遊走に関わる標的分子およびMSCの活性化と線維化に関わる分子を特定を解析し、細胞老化にかかわる液性因子が慢性GVHDの線維化に関わる可能性が見出された。3)次に老化マクロファージが眼GVHDの発症にどのように関わるかを調べるため、老化マーカーであるp16INK4a の発現イメージングマウスの骨髄を単離して移植し、経時的に老化マーカーp16 INK4aを発現するマクロファージの浸潤経路を対照と比較して病態への関与を解析中である。。4)ドナーMSCの除去移植による有効性をマウスモデルで確認した。ドナーMSC除去移植により慢性GVHDの慢性炎症と線維化の大部分が抑制されることからと老化マクロファージの浸潤抑制も同時に効果がある可能性が考えられた。 本研究成果の意義は、眼GVHDに加え他臓器GVHDや、眼類天疱瘡、Stevens Johnson 症候群および生命必須の臓器である肝臓や肺における難治性線維化疾患の病態解明、新規治療法の開発と臨床応用への道を開く可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者は眼GVHDの線維化にドナー由来新鮮骨髄間葉系幹細胞(MSC)が主要な役割を担い老化マクロファージとの相互作用が関与する事を見いだした。ヒト眼GVHDの病態を反映するマウスGVHDモデルにより、次の点を追究した。 1) 眼GVHDにおけるドナーMSCとマクロファージの局在と相互作用の証明 2) MSCと老化マクロファージの相互作用による眼GVHDの発症と慢性化の分子機構の解析 MSCによる病態の解析については成果をまとめて論文掲載に至った。Ogawa Y, et al. eLife 5:e09394;2016.
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Strategy for Future Research Activity |
1)今後、老化マクロファージがGVHDドライアイの発症にどのようにかかわるかを調べるために、老化マーカーであるp16INK4a の発現イメージングマウスの骨髄からマクロファージを単離して移植し、経時的に老化すると老化マーカーp16 INK4aを発現するマクロファージを検証し浸潤経路を対照と比較して病態への関与を解析する。 2)老化マクロファージが分泌する炎症性サイトカインの種類や局在を検討する。 3)ドナーMSCまたはマクロファージの除去骨髄移植のうちMSCの除去移植による有効性、安全性をマウスモデルで確認した。ドナーMSC除去移植により慢性GVHDの慢性炎症と線維化の大部分が抑制されることからと老化マクロファージの浸潤抑制も同時に効果的に生じている可能性が考えられる。今後はマクロファージを選択的に除去する薬剤を使用して、マクロファージの除去移植後のレシピエントの炎症および線維化の程度を検証する。ドナーMSCと老化マクロファージによる相互作用が眼GVHDを発症、慢性化をさせるメカニズムをさらに明らかにする。 4)MSCおよび老化マクロファージの中で特に抗原性が強い分画を見出し、選択的に除去して造血幹細胞移植ができるようにドナー移植細胞の最適化を図る。 5)新規治療法の開発と臨床応用につなげるために内科との討論、連携を深める。将来の臨床試験のための倫理委員会申請書類、プロトコールを準備し倫理委員会申請および承認へむけた準備をする。
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Causes of Carryover |
平成27年度は計画どおりに研究がすすめられたが、年度の終了時点で262円の研究費が残った。残った262円は27年度に使用予定がなく28年度の消耗品用とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に生じた繰越額は28年度消耗品として使用する。
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[Journal Article] MHC-compatible bone marrow stromal/stem cells trigger fibrosis by activating host T cells in a scleroderma mouse model.2016
Author(s)
Ogawa Y, Morikawa S, Okano H, Mabuchi Y, Suzuki S, Yaguchi T, Sato Y, Mukai S, Yaguchi S, Inaba T, Okamoto S, Kawakami Y, Tsubota K, Matsuzaki Y, Shimmura S.
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Journal Title
eLife
Volume: 5
Pages: e09394
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] 眼慢性移植片対宿主病の国際診断基準の感度と特異度の検討.2015
Author(s)
福井正樹, 小川葉子, レザ ダナ, キム ステラ, ビクター ペレッツ, 立松由佳子, 山根みお, 小川護, 西條裕美子, 鴨居瑞加, 坪田一男.
Organizer
第69回日本臨床眼科学会
Place of Presentation
名古屋国際会議場(愛知県名古屋市熱田区)
Year and Date
2015-10-22 – 2015-10-25
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