2015 Fiscal Year Research-status Report
インフルエンザウイルス―口腔細菌混合感染による致死的感染症発症とその機構
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26462806
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
岡本 成史 金沢大学, 保健学系, 教授 (50311759)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 混合感染 / インフルエンザウイルス / Streptococcus sanguinis / 付着 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度に一部の口腔レンサ球菌(Streptococcus sanguinis, Streptococcus mutans)において、インフルエンザウイルスとの混合感染によって感染症の重症化が認められることを明らかにしたが、平成27年度は、その病態の状況および重症化の原因を検討すべく、Streptococcus sanguinis に焦点をあてて研究を行った。 病態について組織病理学的に検討を行ったところ、肺胞部分の炎症性細胞浸潤が混合感染によって顕著にみられた。また、肺における微生物量について検討したところ、肺でのインフルエンザウイルス感染価に変化は認められなかった一方、Streptococcus sanguinis数の肺での増加が認められた。 肺での細菌数の増加について、肺胞上皮細胞のインフルエンザウイルス感染により、同細胞へのS. sanguinis の付着能が増強したことによるものかを検討するために、我々は、in vitro系を用いて肺胞上皮細胞株にインフルエンザウイルスを感染させ、非感染状態の細胞と比較してのS. sanguinis の細胞への付着能の変化の有無を調べた。その結果、ウイルス感染によって細菌の上皮細胞への付着・進入が有意に増強することを明らかにした。 我々は、ウイルス感染による肺胞上皮細胞へのS. sanguinis の付着増強に関与する因子を検索しており、ウイルス感染により発現する細胞側の因子がS. sanguinis の付着・進入の増強に関与する可能性を見出しており、現在その可能性の確認とそのメカニズムの詳細について検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
口腔レンサ球菌とインフルエンザウイルスとの混合感染によって感染症が重症化することを平成26年度に確認した。平成27年度は感染症重症化を誘導するメカニズムの一端を絞り込むことを目標としていたが、研究成果にも示したように、インフルエンザウイルス感染による肺胞上皮細胞の付着増強がその重症化に関連することを明らかにするとともに、付着増強に関与する細胞側の因子の可能性を示唆している。今後、この細胞側の因子の可能性を明らかにし、その因子による細菌の付着増強のメカニズムと感染症重症化との関連性を明らかにすれば、口腔レンサ球菌とインフルエンザウイルスとの混合感染による感染症重症化に到る分子生物学的メカニズムの一端を明らかにすることが期待できる。以上より、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、インフルエンザウイルスとStreptococcus sanguinis との混合感染による感染症重症化に関与すると考えられる、ウイルス感染によって発現する細胞側の因子について、実際にこれが細菌の付着・侵入の増強に直接関与し、混合感染による感染症重症化に直接関与するかをin vitroならびにin vivoの実験系を用いて検討し、明らかにする。 さらにこの因子がStreptococcus sanguinis 以外の口腔レンサ球菌、さらには混合感染により感染症の重症化を誘導することが知られている病原細菌について直接関与しているか否かを検討し、本因子の混合感染による感染症重症化の関与の強弱について明らかにしていく。
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Research Products
(2 results)