2015 Fiscal Year Research-status Report
KLF依存性細胞分化‐EMT誘導因子の同定と口腔癌進行抑制効果の解析
Project/Area Number |
26462859
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
今井 一志 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (10328859)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須藤 遙 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (20372980)
千葉 忠成 日本歯科大学, 生命歯学部, 准教授 (60350138)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | KLF / Sp3 / プロモーター |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトKLF5遺伝子の発現に不可欠な最小必要領域(minimal essential region、MER)を決定するため、9種の異なる長さのプロモーター領域をレポーターアッセイ用のルシフェラーゼ遺伝子プラスミドにクローニングした。口腔癌細胞株を含む様々な種類の細胞株に導入してレポーターアッセイを行った結果、遺伝子転写開始点下流(+145~+330)の186 bpsがMERであることが明らかになった。MERには6か所のGC box(GC1~GC6)が存在するため、各GC boxの変異体を作製し解析したところ、GC1の変異によりレポーターの発現が著しく低下した。次に、GC boxを標的配列とする転写因子(Spファミリー)とGC1との結合をクロマチン免疫沈降法で定量的に解析したところ、Sp3が主要転写因子であり、他のSpファミリー(Sp1、Sp4)はGC1にほとんど結合しなかった。SpファミリーとGC boxとの結合阻害剤mithramycin AあるいはSp3に対するsiRNAにより、癌細胞はレポーターと内在性KLF5の発現をほとんど停止した。正常口腔上皮組織と口腔癌組織においてSp3はKLF5と同じ局在を示すことが免疫組織染色で確認された。従って、KLF5遺伝子の基本的発現は186 bp長の領域に依存し、その内部に存在する1か所のGC boxとSp3との結合によりコントロールされると考えられる(投稿準備中)。 KLF5に類似して口腔上皮組織に発現し、口腔癌細胞で発現低下するKLF4については、プロモーターのメチル化が関与する可能性がある。そこで、口腔癌細胞から単離したゲノムDNAを用いてそのメチル化についてバイサルファイト・シークエンス法で解析した。その結果、-781~-482の237 bpsの領域が過メチル化されており、そのことが口腔癌におけるKLF4発現低下の原因となる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請の第一の目的であるKLF4とKLF5の遺伝子プロモーター解析については順調に進行し、その成果は学術論文として既に発表あるいは最終的な投稿準備段階に至っており、2つの極めて順調に進捗しているといえる。第二の目的であるKLF依存性の細胞分化―EMT誘導因子同定については準備段階にあり、平成28年度より重点的に解析する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
KLF依存性細胞分化―EMT誘導因子の解析は若干の遅れがみられるものの、KLF5遺伝子プロモーターの解析結果が非常に興味深いものであることから、口腔癌進行の解明と抑制に向けてさらに詳細を追求すべきテーマであり、誘導因子の同定と併行して推し進める予定でいる。
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Research Products
(3 results)