2014 Fiscal Year Research-status Report
口腔バイオフィルムにおける菌体外マトリックスの時空間的動態のin situ解析
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26462878
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
朝日 陽子 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (50456943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野杁 由一郎 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (50218286)
三浦 治郎 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (70437383)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 歯学 / 歯内治療学 / バイオフィルム |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔内バイオフィルム形成モデルを用い、バイオフィルム形成開始1,4,8,12,16,24,48,60,72,96時間後にバイオフィルムサンプルを採取し、pyrosequenceに供することで、バイオフィルム構成細菌叢の経時的な変化を評価した(n=9)。 門レベルでの変化:バイオフィルム形成16時間までFirmicutes門の増加が認められ、その後Fusobacteria門およびBacteroidetes門の増加がみられた。また、72時間後にProteobacteria門が急速に増加するサンプルを認めた、一方、Bacteroidetes門が緩やかに増加するサンプルもあった。 属レベルでの変化:12~16時間までStreptococcus属の増加を認め、その後Fusobacterium属およびPorphyromonas属などの偏性嫌気性菌の増加がみられた。Firmicutes門の大部分がStreptococcus属、Fusobacteria門の大部分がFusobacteria属、またBacteroidetes門はCapnocytophaga属、Prevptella属、Porphyromonas属が占めていた。 一方、バイオフィルムの新たな走査型電子顕微鏡観察の方法として、イオン液体を用いた観察方法を用い、バイオフィルムの観察を行った。従来の脱水・蒸着を行う方法でみられたバイオフィルムサンプルの乾燥が、イオン液体を用いた方法において改善された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、口腔内バイオフィルム形成モデルを用いて形成したバイオフィルムサンプルにつき、経時的(バイオフィルム形成1,4,8,12,16,24,48,60,72,96時間後)に構成細菌叢の変化を評価することができた。一方、平成26年度に予定していたバイオフィルム細菌種の3次元的観察は次年度以降に行うこととし、平成27年度に予定していた走査型電子顕微鏡を用いた微細形態学的観察を前倒しして行った。
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Strategy for Future Research Activity |
口腔内バイオフィルム形成モデルを用いて、バイオフィルムの菌体外マトリックスの構成成分の定量的解析、微細形態学的観察および3次元的観察を行う。 菌体外マトリックスの構成成分の定量的解析:バイオフィルムサンプルより菌体外マトリックスを分離し、構成成分の定量的解析を行う。菌体外多糖の定量はフェノール硫酸法、タンパクの定量はSensolyte Red Protease Assay kitを用いる。菌体外DNAはPico Green soulutionで染色後、ルミノメーターで測定することで定量を行う。菌体の定量はフローサイトメーターを用いて行う。 菌体外マトリックスの3次元的局在の観察:バイオフィルムサンプルをCOCRM法を用いて、共焦点レーザー顕微鏡にて観察する。菌体外マトリックス構成成分の染色として、菌体外多糖には蛍光染色されたconcanavalin Aおよびwheat germ、菌体外DNAにはpropidium iodideを用いる。また、菌体にはSYTO9を用いて染色を行う。得られた画像はImarisにて立体構築し、基体外マトリックス構成成分の3次元的な局在の経時的変化につき検索を行う。また、バイオフィルムの表層、中央部、下層ごとに菌体外マトリックスの体積を測定し、菌体外マトリックス形成量の違いにつき検討を行う。 バイオフィルム細菌種の3次元的観察:平成26年度に行った構成細菌種の検索結果より検出頻度が高い細菌種の局在を、FISHを用いて観察する。
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Causes of Carryover |
平成26年度に予定していたバイオフィルム細菌種の3次元的観察を次年度以降に行うこととし、平成27年度に予定していた微細形態学的観察を平成26年度に行ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度にバイオフィルム構成細菌種の3次元的観察を行う。すなわち、平成26年度に行ったバイオフィルム構成細菌種の経時的変化の評価において、検出頻度が高かった細菌種の経時的な局在の変化を3次元的に観察する。バイオフィルムサンプルをFISHにて染色し、共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察する。その後、画像解析ソフトを用いて処理し、バイオフィルムの3次元的画像を構築する。
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