2015 Fiscal Year Research-status Report
口腔バイオフィルムにおける菌体外マトリックスの時空間的動態のin situ解析
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26462878
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
朝日 陽子 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (50456943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野杁 由一郎 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (50218286)
三浦 治郎 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (70437383)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 歯科 / 歯内治療学 / バイオフィルム |
Outline of Annual Research Achievements |
in situ biofilm modelを用いて、バイオフィルム形成1,4,8,12,16,24,48,60,72,96時間後にバイオフィルムを採取し、定量的解析およびシーケンス解析に供した(n=10)。 定量的解析:生菌数測定を行った結果、バイオフィルム形成細菌数は12時間後まで急速な増加を示したがその後は漸増し、48時間後に再び急速に増加し、72時間後でプラトーに達した。 シーケンス解析:pyrosequenceを行った結果、バイオフィルム構成細菌の多様性は12および16時間後に減少し、その後増加傾向を示し、96時間後で最も多様性が高かった。 好気性菌および通性嫌気性菌は、1~24時間後まで全細菌の70 %ほどを占めていたが、48時間後以降は50~60 %に減少した。一方、全細菌に対する偏性嫌気性菌の割合は、1~24時間後まで20 %以下であったが、48時間後以降は30~40 %に増加した。また、優位にみられた細菌属につき全細菌に占める割合を経時的に評価したところ、Streptococcus属は初期において20%以上であったが、96時間後には5 %以下となった。一方、Fusobacterium属は48時間後以降から増加し、96時間後では4、8、12、16、24時間後と比較し有意に増加した。また、Porphyromonas属の割合も48時間以降から増加し、1および16時間後と比較し96時間後に有意に増加した。さらに、Prevotella属の割合は8時間以降から増加し始め、4、 8、12 および16時間後と比較し96時間後に有意に増加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バイオフィルム構成細菌種の経時的な変化については、シーケンスおよびデータ解析の全てを完了した。 一方、菌体外マトリックスの構成成分の経時的定量解析については現在進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
菌体外マトリックスの構成成分の定量的解析:in situ biofilm modelを用い、菌体外マトリックスの構成成分の経時的変化につき定量的解析を行う。バイオフィルムサンプルより菌体外マトリックスを分離し、吸光分光光度計にてそれぞれの蛍光色素にて染色した試料を測定する。 バイオフィルムの効果的な抑制法の検討:菌体外マトリックスの構成成分の定量的解析結果および構成細菌の経時的変化を踏まえて、口腔バイオフィルム形成のそれぞれの時期における効果的な抑制法を検討する。
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Causes of Carryover |
産休を取得していたため、当初予定していた国際学会における発表および国内学会に参加できなかったため。 また、産休取得により新たな実験系(マトリックスの定量的解析)の立ち上げに関しては、軽度の遅れが生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新たに得られた研究成果を本年度開催されるバイオフィルムおよび歯科保存学領域の学会にて発表し、また論文発表を行うことで国内外に情報を発信する。 細菌叢の経時的変化が完了したことで得られた時間を活用し、バイオフィルム抑制法の検討と並行してバイオフィルムのマトリックス成分の定量的解析を行う。
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