2015 Fiscal Year Research-status Report
フルカウントゥアジルコニア修復の長期予後を目指した前向き臨床研究
Project/Area Number |
26462908
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三浦 賞子 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (60431590)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | CAD/CAM / ハイブリッドレジン / ジルコニア / 臨床調査 / リスクファクター |
Outline of Annual Research Achievements |
歯科用CAD/CAMシステムは,コンピュータ支援によるブロックの切削を介し,均質で優れた表面性状を持つクラウンの製作を可能にする.この技術により,審美性を求める患者や金属アレルギーを有する患者に対する歯冠修復材料の選択肢が広がった.また,平成26年4月よりこのシステムを用いたハイブリッドレジンCAD/CAM冠(CAD/CAM冠)が小臼歯に対して保険適応となった.ただし,CAD/CAM冠の予後についての知見は乏しいのが現状であり,CAD/CAM冠が保険適応の歯冠色修復材料として幅広く利用され,有用な医療技術として定着するためには,そのトラブルのリスクファクターについて検討することが重要である.本研究では,小臼歯CAD/CAM冠症例の後ろ向き調査を行い,その臨床経過を追うとともに,リスクファクターの探索を試みた(承認番号:2015-3-2). 調査対象となったCAD/CAM冠の内訳は,上顎第一小臼歯58症例,上顎第二小臼歯67症例,下顎第一小臼歯35症例,下顎第二小臼歯45症例であった.性別は男性57名,女性148名であった.装着時の年齢は,20-39歳17名,40-59歳64名,60歳以上124名であった.合着用セメントはグラスアイオノマー系レジンセメント176症例,接着性レジンセメント29症例であった.対合歯の歯冠修復材料は,天然歯59症例,陶材7症例,金属76症例,ハイブリッドセラミックおよびレジンが63症例であった.全205症例の内,クラウンの脱離が10症例(4.9 %)発生し,他のトラブルは認めなかった.クラウンの脱離は全て装着後6か月以内に発生した.今後さらに症例数および追跡年数を増やすことで,ハイブリッドレジンCAD/CAM冠治療におけるトラブルのリスクファクターを検討していく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究開始当初の予定よりもフルジルコニア修復を希望する患者数が少なかった.その背景として,小臼歯に対するハイブリッドレジンCAD/CAM冠の健康保険導入が挙げられる.全体の患者数は減少していないことから,歯冠色修復材料の選択肢拡大が大きな理由の一つであると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き,フルジルコニアクラウン装着希望の患者のリクルートを続ける.また,すでにフルジルコニアクラウンを装着した患者の予後について調査を続ける.また,ハイブリッドレジンCAD/CAM冠の症例数の増加を鑑みて,CAD/CAM冠およびフルジルコニアクラウンの両補綴装置について,トラブルの有無やその内容を調査し,それらの材料特性の違いから,リスクファクターの検討を行う.
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Causes of Carryover |
研究計画よりもフルジルコニアクラウン装着希望の患者数が得られなかったため,クラウン製作にかかる材料などの消耗品の購入が少なかったためと考えられる.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
比較的新しい材料であり有用な歯冠補綴材料であることを患者に周知し,引き続き患者のリクルートに努める.
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Research Products
(7 results)