2014 Fiscal Year Research-status Report
iPS細胞の供給源としての乳歯歯髄細胞の有用性について
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26462971
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
釜崎 陽子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (30253678)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 卓 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (00228975)
西口 美由季 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (10253676)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 乳歯歯髄細胞 / 幹細胞 / iPS細胞 / pluripotent stem cell |
Outline of Annual Research Achievements |
脱落乳歯歯髄の採取と培養:今年度は、19名の小児(5歳11ヵ月~12歳0ヵ月、健常児12名、何らかの全身疾患を有している児7名)の交換期障害の乳歯(乳前歯9、乳臼歯9)、および抜歯を必要とした埋伏過剰歯1より、本人と保護者の同意を得、歯髄細胞を採取した。そのうち培養、増殖に成功したものは7(乳前歯3、乳臼歯4、健全なもの4、C1~C2程度の齲蝕罹患歯3)であった。交換期乳歯であり、採取できる歯髄は極めて少量であったため、10㎝の細胞培養ディッシュ上でコンフルエントになるまで増殖させるのに約1ヵ月~3ヵ月を要した。培養に失敗したものは12で、付着しなかったもの3、付着後増殖培養の過程におけるミス4、付着後増殖しなかったもの2、増殖後付着細胞が剥離したもの3であった。
脱落乳歯歯髄のストックの作成:コンフルエントまで増殖させた4種の歯髄細胞(乳前歯2ー健全、乳臼歯2ーC2)は、各3ずつ10代まで継代し、ストックを作成した。継代中の増殖のペースは概ね良好で5~7日毎に10㎝ディッシュ90%コンフルエントまで増殖させ、継代を行った。
乳歯歯髄細胞のiPS細胞の供給源としての有用性の判定:10代まで継代し、ストックできた4種の細胞について、2代目と6代目の細胞各1、計8より、タンパク質を抽出し、多能性幹細胞のマーカー15種類(Oct-3/4,Nanog,SOX2,E-Cadoherin,α-Fetoprotein,GATA-4,HNF-3β/FoxA2,PDX-1/IPF1,SOX17,Otx2,TP63/TP73L,Goosecoid,Snail,VEGF R2/KDR/Flk-1,HCG)の発現についてHRP反応により検出を解析した。結果、8サンプル全てで、15種類全てのマーカー抗体を検出した。各抗体間の検出レベルの差については、サンプル数を増やし検索する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
19サンプル採取して、培養、増殖まで成功させることができたのは7であり、成功率は30.1%であった。培養上のミスが4例についてあり、この4例についてはなくしていくべきであり、改善の余地がある。その他の8サンプルが増殖不可能であった原因は現時点で不明である。成否に関わるファクターの分析が必要であるが、採取するサンプル数を増やす必要がある。 採取できる組織量は極めて少量であり、初代細胞の増殖に予想以上に時間がかかったが、次代以降の継代は順調であり、ストック作成は計画とおりに行うことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
採取できた歯髄細胞の全てを培養、増殖、ストックできるわけではなく、何らかの要因で培養できない例があった。そのなかで、培養ディッシュに付着できない、付着しても増殖しない、付着増殖後剥離する、などのパターンが見られた。採取サンプル数を増やし、この要因解析を行う必要がある。 増殖、ストックできた細胞に関しての多能性は、各マーカー間で差異を生じた発現は認めなかったものの、全てのマーカーについての発現の検出により期待できると考えている。今後は、解析を行うサンプル数の数を増やすこと、タンパク解析により多能性が期待できるサンプルについては、RNAレベルでの解析を行う。
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Causes of Carryover |
必要な試薬購入に充てるべきであったが、金額の不足を生じるため、今年度は購入を止めていた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
必要な試薬購入に充てる予定である。
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