2015 Fiscal Year Research-status Report
iPS細胞の供給源としての乳歯歯髄細胞の有用性について
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26462971
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
釜崎 陽子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (30253678)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 卓 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (00228975)
西口 美由季 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (10253676)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 乳歯歯髄細胞 / iPS細胞 / 多能性幹細胞 / GSK-3阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
乳歯歯髄細胞の採取と培養:今年度は、全身疾患罹患児4名の小児(21trisomy 2名,伊藤白班1名,急性リンパ性白血病骨髄移植後4年経過,5歳11ヵ月~8歳11ヵ月)の交換期障害乳歯(乳前歯2歯,乳臼歯1歯,全て健全)抜歯及び、晩期残存乳臼歯(23歳1ヵ月,C2)の抜髄に際し、歯髄組織採取を行った。採取にあたっては,本人と保護者に対しインフォームドコンセントの上これを実施した。そのうち、培養、増殖に成功したものは1例のみであった。失敗例はすべて,細胞の付着から認められなかった.培養成功例の一例についても付着確認まで数日を要した. 乳歯歯髄細胞のiPS細胞の供給源としての有用性の検討:26年度に解析を行った4種の歯髄細胞について、増殖能およびGSK-3阻害剤6-bromoindirubin-3'-oxime(BIO)の影響を検討した。増殖能は一様ではなく,細胞間で大きな差を生じた。低い増殖能を示した細胞は,培養,継代の過程においても他の細胞に比べ2~3倍の期間を要していた。 4種の細胞の培地中にBIOを3μMの濃度で添加し、48時間培養後、抽出したタンパクについて,多能性幹細胞のマーカー15種類(Oct-3/4, Nanog, SOX2, E-Cadherin,α-Fetoprotein, GATA-4, HNF-3β/FoxA2, PDX-1/IPF1, SOX17, Otx2, TP63/TP73L, Goosecoid, Snail, VEGF R2/KDR/Flk-1, HCG)の発現をHRP反応により検出、解析した。結果4種の細胞全てについて,BIOの添加により全てのマーカーの検出レベルが大幅に低下した。増殖抑制は顕著で、形態にも変化が現れており、4種の細胞は、3μM BIOの添加により、形態はより単純化され、大きさは軽度の増大傾向を示していた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
サンプル数はやや不足している。臨床現場においてサンプル採取の機会を逃しがちであったためであると考えられる。全身疾患罹患児の場合、その傾向が強い。また、現時点では、全身疾患罹患児の交換期障害乳歯由来の歯髄組織の培養成功例が予想以上に少ない。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に計画とおりに進める。 サンプルの採取が滞っているため、これに力をいれる。 GSK-3阻害剤6-bromoindirubin-3'-oxime(BIO)の影響については、現時点では予想に反した結果であったが、濃度を変更する等検討を加える。 細胞の多能性の評価について、タンパクレベルで検出ができていることから、遺伝子レベルでの解析も検討する。
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Causes of Carryover |
日程的な都合により研究打ち合わせができなかった。 サンプル数が予定より少なかったことから、必要な試薬の購入も少なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
サンプル数を増やし、必要な試薬購入に充てる。
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