2014 Fiscal Year Research-status Report
口腔外科疾患に対する骨シンチグラフィ定量評価システムの開発と臨床応用
Project/Area Number |
26463011
|
Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
大林 由美子 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (10284374)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 義郎 香川大学, 医学部, 教授 (10181687) [Withdrawn]
岩崎 昭憲 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (10437676)
三宅 実 香川大学, 医学部, 准教授 (20239370)
山本 由佳 香川大学, 医学部附属病院, 講師 (30335872)
中井 史(澤井史) 香川大学, 医学部, 助教 (70595090)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 骨シンチグラフィ定量評価 / 口腔外科疾患 / 薬剤関連顎骨壊死 / Bone Uptake Value |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は各種口腔外科疾患に対する骨シンチグラフィの定量的評価法の開発を目指し、口腔外科疾患の診断および評価の精度の向上を図る事を目的としている。骨シンチグラフィで使用する99mTc-metylene diphoshonateはハイドロキシアパタイトに結合する性質があり、その結合力は局所の血流と骨代謝の活性に比例して結合する性質を持つ。それゆえ口腔外科の疾患の診断や治療経過観察に多用されているが、定量的診断は困難であった。われわれはこれを定量化するために骨シンチグラフィにおける各ピクセル値を放射線医薬品の投与量および体重で正規化した値としてBone Uptake Value(以下BUV)を算出し定量化するソフトウエアを使用している。今までは全身像から関心領域の平均値しか算出できず、全身像から顎骨の小さな範囲の関心領域を抽出することが困難で、また関心領域の範囲の拡大縮小によって平均値が容易に変化することが欠点であった。平成26年度は全身像から頭頸部画像を拡大抽出できるようになり、関心領域が容易に設定できるようになった。また関心領域の平均BUVに加え、最大BUV、関心領域の面積の測定が可能になるように改良した。 薬剤関連顎骨壊死medication-related osteonecrosis of the jaw(MRONJ)は、ビスフォスフォネート(BP)やデノスマブのような骨吸収抑制剤に加え、分子標的薬の血管新生阻害剤などの関連性も示唆されている。医療の進歩に伴い、これら薬剤需要が増大する一方で、骨への侵襲的歯科治療を必要とする患者も増加しており、MRONJ発生の予測に ついての検討は重要である。われわれはMRONJにおける骨シンチグラフィ定量解析での予測性について検討した。香川大学医学部附属病院歯・顎・口腔外科を受診した薬剤関連顎骨壊死患者15例を対象とし、健側下顎骨に集積したBUVの平均値および最大値を計測したところ健側下顎骨定量解析の最大BUVによりMRONJを予測できる可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の研究実施計画の第一は骨シンチグラフィ定量測定のためのソフトウエアの改良であった。これは当初の予定どおり関心領域の平均BUVおよび最大BUVが測定できるようになった。また全身像から頭頸部画像を抽出することで、関心領域が容易に設定できるようになった。 計画の第二はMRONJの予測因子として骨シンチグラフィ定量評価が有用であるかどうかという事であった。改良したソフトウエアを使用したBUVの平均値および最大値をエンドポイントとした研究ではMRONJ群の健側下顎骨関心領域における平均値および最大値BUVはコントロール群に比べ有意にBUV値が上昇しており、MRONJ群の健側下顎骨定量解析の最大BUVによりビスフォスフォネート関連顎骨壊死予測できる可能性が示唆された。最近の研究では有用な予測因子について確立したものはなく、また骨シンチグラフィ定量評価で顎骨壊死を予測する可能性があることを報告したものはなく、この研究成果は大きいと思われる、。平成24年10月のこの研究報告では第59回(公社)日本口腔外科学会総会・学術大会優秀ポスター発表賞を受賞した。以上により、本研究は概ね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在の骨シンチグラフィ定量測定のためのソフトウエアは、関心領域の設定が1か所しか設定できず、複数の関心領域を設定したい場合には同じ定量測定操作を複数回行わないといけないため、同時に複数の関心領域を設定できるように改良を加える。 またMRONJの予測精度を向上させるためには症例数を増やし、骨シンチグラフィ定量評価でのMRONJ予測の感度、特異度を検討する。そしてMRONJの標準治療にヒト副甲状腺ホルモン[1-34]であるテリパラチドを6か月投与した治療の安全性と有効性についての検討をしているが、有効性の指標としての骨シンチグラフィ定量評価が有用性を明らかにしていきたい。 他の口腔外科疾患については放射線性顎骨壊死のBUVを測定し、活動性病変の有無の判定、病変の範囲の決定、観血的処置の範囲の決定等の口腔外科専門医の臨床所見と核医学専門医との読影と最も一致する質的診断、治療効果等の解析方法を追求したい。
|
Causes of Carryover |
平成26年度に顎骨骨髄炎の、骨シンチグラフィでの定量化を行い質的診断を行うとともに学会発表する予定であったが、分析の結果が骨髄炎の質的診断にまで至らなかったため、計画を変更し放射線性顎骨壊死の解析を行うこととしたため、未使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度は放射線性顎骨骨髄炎の解析を行うとともに、薬剤関連顎骨壊死の骨シンチグラフィ定量評価での予測性について精度を高め、研究成果をもとに研究の動向調査、研究成果発表のために国内および国際学会に参加する予定である。また研究成果を英語論文として投稿する予定で、そのために図書等の物品、国内および国際学会旅費、英文校正や学会参加費等の費用を予定している。また、ソフトウエア改良のための資料や機器、業者との打ち合わせ等に費用を算出予定である。
|
Research Products
(3 results)