2014 Fiscal Year Research-status Report
凍結切片によるiPS細胞の分化誘導メカニズムの解明とその品質評価法確立への応用
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26463029
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
下間 雅史 鶴見大学, 歯学部, 非常勤講師 (50612008)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
里村 一人 鶴見大学, 歯学部, 教授 (80243715)
舘原 誠晃 鶴見大学, 歯学部, 講師 (90380089)
徳山 麗子 鶴見大学, 歯学部, 助教 (20380090)
井出 信次 鶴見大学, 歯学部, 学部助手 (00611998)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | iPS細胞 / 分化誘導法 / 凍結切片 / メカニズム / 品質評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
失われた組織や臓器の再生を目指す再生医療は最も注目される研究分野であり、なかでもiPS細胞を利用した再生医療の実現に対する国民の期待は大きい。しかし、iPS 細胞の効率的かつ確実な分化誘導法は未だ確立しておらず、またiPS 細胞の品質評価法も確立されていない。われわれはこれまでに凍結組織切片上でiPS 細胞を培養することにより効率的かつ簡便にiPS 細胞を肝細胞および神経細胞へと分化誘導することに成功してきた。この研究成果を踏まえ、本研究では凍結切片上培養分化誘導法が、様々な体細胞に由来するiPS 細胞や樹立方法の違うiPS細胞にも普遍的に応用可能であるかどうかを検討するとともに、そのメカニズムを解明し、併せて分化誘導刺激に対するiPS 細胞の反応性の差異を詳細に検討することを通して新たな観点に立脚した新しいiPS 細胞の品質評価法を確立することを目的とする。そこで、マウスから脳、脊髄、肝臓を摘出し、それぞれカバーガラス上に凍結切片を作製し、これを同径のガラスボトムディッシュ内に静置し、その切片上に各種iPS 細胞を播種し、培養することで、これまでにわれわれが樹立したヒト口腔粘膜由来iPS 細胞を用いた凍結組織切片上培養による分化誘導法が起源や樹立方法の違うiPS 細胞に普遍的に応用可能であるかについて、歯髄、皮膚など起源の異なるiPS 細胞、用いたリプログラム因子の数あるいは遺伝子導入方法など樹立方法の異なるiPS 細胞を用いて検討したところ、各種iPS細胞はそれぞれの目的組織・臓器に分化誘導されるとともに、それぞれのiPS細胞によってその分化誘導効率に差を認めた。このことから本分化誘導法が普遍的に様々なiPS細胞に応用できる可能性とともに、iPS細胞の品質評価にも応用できる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は本分化誘導法が普遍的に応用できる可能性につき検討するため、マウス組織・臓器の凍結切片上で、様々な由来および樹立方法のiPS細胞を対象として分化誘導を試みたところ、これまでにわれわれが見出してきた成果と同様に、それぞれのiPS細胞において目的とする組織・臓器へ分化誘導が可能であることが示唆された。それとともに、それぞれのiPS細胞の由来や樹立方法の種類により分化誘導効率が変化することも見出し、品質管理に応用できる可能性などが示唆され、このことから当初の予定通り概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、凍結切片を用いたiPS 細胞の効率的分化誘導法の確立とその詳細な分子細胞生物学的メカニズムの解明、さらには本分化誘導法を応用した新たなiPS 細胞品質評価法の確立を目指して以下の研究を行う。これまでに得られた結果を前提として、他の組織・臓器を用いても分化誘導が可能かどうかについて検討する。さらに分化誘導メカニズムにつき①液性タンパク質因子、②細胞外基質、③microRNA の3つの観点から分子細胞生物学的に検討する。加えて、分化誘導刺激に対するiPS 細胞の反応性の差を詳細に検討することによりiPS 細胞クローンごとの分化指向性に着目した新たな品質評価法として本法を用いることができる可能性につき検討し、新たなiPS 細胞の品質評価法の確立を目指す。
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Research Products
(2 results)