2016 Fiscal Year Research-status Report
意図的歯根切除と抗菌性薬剤が歯の再植後の歯髄・歯根膜治癒過程に及ぼす影響について
Project/Area Number |
26463111
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大島 邦子 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (80213693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 勇人 新潟大学, 医歯学系, 教授 (70251824)
早崎 治明 新潟大学, 医歯学系, 教授 (60238095)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 歯髄幹細胞 / 再生 / 抗菌性薬剤 / 歯根切除 |
Outline of Annual Research Achievements |
GFPマウスをホストまたはドナーとして他家移植を行い、歯根切除が歯の移植後のドナー・ホスト相互作用に及ぼす影響を検索した。3週齢GFPマウス上顎第一臼歯の抜去後、実験群では歯の再植前に歯根を半分に短くした状態で野生型マウス抜歯窩へ移植した。一方、対照群では抜去歯は野生型マウス歯槽窩にそのまま移植した。さらに、野生型マウス上顎第一臼歯も抜去後、同様にGFPマウス抜歯窩へ移植した。術後1.3.5.7.14.28日後に深麻酔下にてアルデヒド固定液で潅流固定し、脱灰後パラフィン切片を作製し、HE染色、ネスチンおよびGFP免疫組織化学を行った。 歯の移植後には、ドナー細胞が象牙芽細胞に分化するとともに、ホスト由来細胞も移植歯歯髄に侵入するが、歯根を切除した群では血管進入およびその近傍の象牙芽細胞分化がより早期におこる傾向が認められた。 また、28日後では、象牙質形成、象牙質・骨混在型、骨形成および歯根吸収など多様な治癒パターンを示したが、歯根を切除した群では、象牙質が形成されつつ象牙芽細胞が残存し、歯髄腔は閉鎖せず保たれる傾向が認められた。 歯の再植・移植後には、歯冠部幹細胞は消失し、歯根部幹細胞の増殖と遊走が起こり、歯髄が治癒すると考えられている。また、歯髄幹細胞が消失すると骨様組織が形成されるが、他家移植では歯髄幹細胞が維持されたとしても、その後歯髄幹細胞がアポトーシスが起こし歯髄は閉塞すると考えられる。しかし、意図的に歯根切除を行うことで、早期に血行が回復し、歯冠部幹細胞の維持が図られれば、歯髄閉塞を免れる可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究代表者の右上腕骨骨折により、平成28年8月から約4ヶ月間、一部の実験の遂行に支障をきたし、解析に遅延を生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に実施したGFPマウスを用いた歯根切除が歯の移植後のドナー・ホスト相互作用に及ぼず影響をさらに検索するとともに、長期例についても検討する。
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Causes of Carryover |
年度末の学会参加のための旅費の支払いが次年度にくりこしになったため。また、研究代表者の右上腕骨骨折により、平成28年8月から約4ヶ月間、一部の実験の遂行に支障をきたし、解析に遅延を生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
遅延していた実験を継続するための物品費に使用する。また、一部は年度末の学会旅費、納入が遅れていた物品費として4月に使用済みである。
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