• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2015 Fiscal Year Research-status Report

哺乳期の呼吸と嚥下機能調節におけるエピジェネティック制御因子の関与

Research Project

Project/Area Number 26463120
Research InstitutionNihon University

Principal Investigator

白川 哲夫  日本大学, 歯学部, 教授 (00187527)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 浅野 正岳  日本大学, 歯学部, 教授 (10231896)
Project Period (FY) 2014-04-01 – 2017-03-31
Keywordsレット症候群 / Mecp2 / ヒストンアセチル化 / Gad1 / バルプロ酸ナトリウム / CpGメチル化 / MBD1 / MBD2
Outline of Annual Research Achievements

実験動物としてレット症候群のモデルマウスであるMecp2欠損雄マウス (hemi),ならびにC57BL/6J野生型雄仔マウス (wild) を用いた。
実験1)hemiマウスにみられる呼吸異常に,延髄呼吸中枢の神経細胞でのヒストンアセチル化がどのように関与しているのかを明らかにする目的で,生後8日より7日間,各マウスにバルプロ酸ナトリウム(VPA,200 mg/kg) を腹腔内投与した後,生後15日に全身型プレチスモグラフィーにて無呼吸回数をカウントした。また延髄呼吸中枢の神経細胞について,リジン残基 (H3K9,H3K14,H4K5,H4K8) でのヒストンアセチル化について検討した。その結果,VPAの投与によりhemiマウスの無呼吸回数は有意に減少した。呼吸中枢でのヒストンアセチル化レベルは,H3K14とH4K8ではVPA投与後も影響を受けなかったが,H3K9とH4K5ではhemiマウスおよびwildマウスともにアセチル化レベルが上昇した。
実験2)呼吸中枢でのGABA神経伝達にVPAがどのように働いたかを調べる目的で,延髄腹側呼吸中枢でのGad1 mRNAレベルへのVPAの影響,またGad1プロモーターでのCpGメチル化レベルの変化を実験1と同様に2週齢のwildおよびhemiマウスで調べた。さらにGad1プロモーター領域へのMBD1,MBD2の結合について比較した。その結果,VPAの投与によりGad1 mRNAレベルの上昇が認められ,Gad1プロモーターでのCpGメチル化レベルは低下していた。hemiマウスにおいてMBD1の結合はVPAにより低下したが,MBD2の結合に変化はみられなかった。
以上より,hemiマウスの生後早期におけるVPAの投与が,ヒストンならびにGad1プロモーターへのエピジェネティックな作用を通じて無呼吸を改善させる可能性が示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

平成27年度は実験用マウス(Mecp2ノックアウトマウス)の入手が不調であったため,実験の一部について予定通り遂行することができなかった。その理由として,ヘテロ欠損母マウスの妊娠,出産効率が前年と比較して低下したため,実験用仔マウスの確保が不十分となったことが挙げられる。具体的には,in vivoでの電気生理学的実験に供するマウスの数が不足したことにより予定した実験が行えなかった。
現在,飼育環境を見直して改善に努めているが,不可抗力的な要因も考えられる。最も考えられるのが現在動物飼育室のある建物の隣で行われている建築物の解体工事と新築工事で,Mecp2ヘテロ欠損母マウスはストレスに敏感なため,工事に伴う騒音と振動が繁殖に影響している可能性がある。それを補うため,新たにヘテロ欠損母マウスの補充を検討している。

Strategy for Future Research Activity

実験用マウスの確保に努め,当初の計画通り実験を遂行する方針である。
推進の方策:
①Gad1プロモーター領域のヒストンのメチル化およびアセチル化の検討:Gad1プロモーター領域のヒストンのメチル化およびアセチル化を調べる実験を計画通り行う。クロマチン免疫沈降法(ChIP 法)により,クロスリンクしたメチル化ヒストンH3,H4,あるいはアセチル化ヒストンH3,H4 を免疫沈降してこれらのタンパクを回収し,そののちGad1 のDNA についてPCR を行って,Gad1 プロモーター領域クロマチンのヒストン修飾の状態を検討する。ChIP法についてはGad1 プロモーター領域でのMBD1,MBD2の結合レベルの測定において成功しているため技術的には問題はない。
②Mecp2欠損マウスの顎舌骨筋および横隔膜からの筋電図の測定と解析:研究計画に記載した内容で,できる限り実験用マウスを確保し,慢性電極埋め込み型マウス筋電図測定装置(ピナクルテクノロジー社:現有設備)を用いて,咬筋と顎舌骨筋からの筋電図の同時測定を行う。

Causes of Carryover

研究計画に準じて物品購入したが,予定より安価に抑えられたので残額が生じた。

Expenditure Plan for Carryover Budget

27年度の残額は28年度の使用額に繰り入れて消耗品等の購入に使用する。

使用を予定している品目は,①Gad1プロモーターのメチレーション解析のプロセスで必要な塩基配列決定のための高速シークエンス委託,②試薬類,③ピペットなどの器具類,④実験動物(Mecp2ヘテロ欠損雌マウスおよび野生型雄・雌マウス),⑤成果発表としての雑誌掲載料,である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2016 2015

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results,  Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Regulation of transient receptor potential vanilloid 1 expression in trigeminal ganglion neurons via methyl-CpG binding protein 2 signaling contributes tongue heat sensitivity and inflammatory hyperalgesia in mice.2016

    • Author(s)
      Suzuki A, Shinoda M, Honda K, Shirakawa T, Iwata K
    • Journal Title

      Molecular Pain

      Volume: 12 Pages: 1-11

    • DOI

      10.1177/1744806916633206

    • Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
  • [Presentation] MeCP2欠損マウスを用いたレット症候群の呼吸異常の解明2015

    • Author(s)
      岩佐聡子,石山未紗,鈴木安住,伊藤寿典,木舩 崇,白川哲夫
    • Organizer
      第32回 日本障害者歯科学会総会および学術大会
    • Place of Presentation
      名古屋国際会議場(愛知県名古屋市)
    • Year and Date
      2015-11-06 – 2015-11-08

URL: 

Published: 2017-01-06  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi