2016 Fiscal Year Annual Research Report
Involvement of epigenetic regulatory factors in respiration and swallowing during the suckling period
Project/Area Number |
26463120
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
白川 哲夫 日本大学, 歯学部, 教授 (00187527)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 正岳 日本大学, 歯学部, 教授 (10231896)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 呼吸中枢 / Gad1 / プロモーター / CpGメチル化 / ヒストンアセチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
延髄には呼吸や嚥下に必須の中枢があり,神経伝達物質のγ-aminobutyric acid (GABA)がそれらの機能調節に重要な役割を担っている。本研究では,GABA神経伝達が低下しているMeCP2欠損マウスの延髄腹側呼吸中枢について,MeCP2のターゲット遺伝子の一つと考えられるGABA合成酵素Gad1のプロモーター領域の解析を行い,GABA神経伝達のエピジェネティック調節機序について検討した。 延髄腹側呼吸中枢でのGad1近位プロモーター上に位置する23個のCpGについて,シトシンのメチル化の程度をバイサルファイトシークエンス法により調べたところ,MeCP2欠損マウスでは,野生型雄マウスと比べ,CpGのメチル化レベルが有意に(p<0.05)高かった。このことから,MeCP2欠損マウスでは呼吸中枢でのGad1プロモーター領域の高メチル化がGad1 mRNA発現を低下させ,GABA神経伝達を低下させている可能性が示唆された。 MeCP2欠損マウスにヒストン脱アセチル化酵素阻害剤のバルプロ酸(VPA)を腹腔内投与したところ,呼吸中枢のGad1近位プロモーター上でのメチル化CpGの分布パターンが変化した。またVPA投与により,MeCP2欠損マウス,野生型雄マウスともに呼吸中枢でのGad1 mRNAが増加していた(p<0.05)。 呼吸中枢でのヒストンアセチル化についてMeCP2欠損マウスと野生型雄マウスで比較したところ,生理食塩水投与では両者に差を認めなかったが,VPAを投与した場合,H3K9とH4K5においてMeCP2欠損マウスでヒストンアセチル化レベルが上昇した(p<0.05)。以上より,VPA投与によってヒストンのアセチル化レベルが上昇しGad1プロモーターのCpGメチル化パターンが変化したことで,呼吸中枢でのGad1 mRNAの発現が上昇した可能性が考えられた。
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