2014 Fiscal Year Research-status Report
新規開発自律神経活動モニターシステムを用いた安全・安心な高齢者歯科治療の確立
Project/Area Number |
26463179
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
下地 伸司 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (30431373)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏崎 晴彦 北海道大学, 大学病院, 講師 (10344516)
後藤 まりえ 北海道大学, 大学病院, 助教 (40374540)
竹生 寛恵 北海道大学, 大学病院, 助教 (40609103)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自律神経活動 / 心拍変動解析 / ストレス / 高齢者歯科診療 / 音楽鎮静 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、新規開発自律神経活動モニターシステムを用いて歯科診療時の全身状態の変化を簡便かつリアルタイムに評価することで、安心・安全な歯科診療への貢献を目指すことである。本年度は、最初に健全な若年成人ボランティア(20歳代の歯科研修医10名)を被験者として本モニターシステムを用いて局所麻酔および超音波スケーラーを用いたスケーリングを行った際の血圧、心拍数および自律神経活動の変化を評価した。その結果、血圧および心拍数は、全ての段階で大きな変化は認められなかった。一方、自律神経活動(LF/HF:交感神経活動の指標)は、局所麻酔やスケーリングといった実際の診療中よりもその開始前、特にデンタルユニットに座った段階で上昇することが明らかになった。それらの結果から、本モニターシステムを用いることで、血圧および心拍数では検出されない歯科診療時の全身状態の変化を検出できる可能性が示唆された。また、健全な若年成人においては、局所麻酔やスケーリング時の侵害刺激よりも精神的なストレスの方が全身状態に影響を及ぼす可能性が示唆された。一方、高齢患者にスケーリングを行った際には、異なる結果となった。高齢患者に超音波スケーラーを用いたスケーリングを行った際は、ばらつきはあるものの診療中も交感神経活動が上昇する患者が多いことが明らかとなった。これらの点については今後、症例数を蓄積して科学的根拠を確立したい。また、本年度はすでに精神的なストレスを減少させる方法として音楽鎮静法の効果についても健全な若年成人の局所麻酔時での検討も進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標は、歯科治療が高齢者の自律神経活動に及ぼす影響の解明および評価方法の確立であった。これまでにボランティアを用いて局所麻酔や超音波スケーラーを用いたスケーリングが自律神経活動に及ぼす影響について検討を行うことで、評価方法はほぼ確立できたため、目標は概ね達成できたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
H26年度は、健全な若年成人ボランティアを被験者として、歯科診療時の自律神経活動を測定方法する方法について確立することができた。また、歯科診療時のどの段階で被験者がストレスを感じているかについても検討することができた。 H27年度は、高齢患者への各種歯科診療時の自律神経活動の変化を測定して歯科診療が高齢患者に及ぼす影響について検討を進めていく。
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Causes of Carryover |
海外発表が予定より減少したため、使用金額が減少した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に海外発表を行う予定である。
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