2014 Fiscal Year Research-status Report
食道がん周術期の口腔ケアと摂食機能訓練による早期経口摂取の獲得
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26463200
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
松尾 浩一郎 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (90507675)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇山 一朗 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (60193950)
柴田 斉子 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (40319265)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 周術期口腔管理 / 口腔衛生管理 / 食道がん / 心臓血管外科手術 / 口腔ケア / 歯周炎 / ERAS |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,周術期の口腔管理によって,肺炎などの術後合併症のリスクが低減できることが報告されるようになった。一方で,術後の機能回復促進のために周術期の集約的なリハビリテーションがERAS(enhanced recovery after surgery,術後回復の強化)プロトコルとして発達してきた。本研究では,術後の合併症予防のための従来の周術期口腔ケアに加えて,早期経口摂取を目的とした摂食機能訓練を組み合わせることで,術後の安全かつ早期の経口栄養摂取の獲得を目指すことを目標とした。 術後の呼吸器合併症の一因は,口腔内の病原菌と報告されている。しかし,周術期の短期集中的な歯周治療でどの程度口腔衛生状態が改善できるかまだ明らかになっていない。そこで,今年度は,周術期口腔管理における歯周治療によって口腔内の衛生状態と細菌数がどのように変化していくか,術後の侵襲度が高い食道がん患者と心臓弁置換術の患者を対象として検討を行った。現在データを集めている段階だが,当院歯科を受診した両手術症例20名程度のデータが集まった。歯周炎の炎症の指標である歯周ポケット(PPD),プロービング時の出血(BOP)と口腔内細菌数が,術前から術後にかけてどのように変化したか統計学的に分析した。BOP(+)ならびにPPD4mm以上の割合は,初診時から術前日にかけて有意に低下し,術後も低値を維持していた(p>0.001)。細菌数は,初診時から術前日にかけて有意な変化を認めなかったが,術後7日目では,初診時よりも有意に低下していた(p = 0.022)。本結果より,周術期患者への術前からの歯周治療や口腔衛生指導により,口腔衛生状態の改善が図れることが示された。来年度は,症例をさらに増やして口腔内の衛生状態や細菌数の変化と合併症や発熱の有無との関連性について調査を進めて行く予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,研究所年度として,研究計画の立案から,倫理審査委員会への申請ならびに承認を経て,研究データの採取がスタートした。1年間終わって20例程度の症例のデータが集まった。データの集積状況は概ね順調である。当初予定していた症例数50名には達していないが,対象疾患を食道がん症例だけでなく,弁置換症例も加えたことで,今後症例数は増やせていけると考える。また,集めている研究データは,予想していたような結果としてでてきているため,研究計画も現在の計画に沿った形で進めていけると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
短期的に集中した歯周治療による口腔衛生状態の変化について,次年度も継続してデータを集めていく予定である。また,口腔衛生の改善による全身合併症(肺炎,発熱,抗生剤の使用期間など)の改善についてデータを採取するとともに,口腔管理を実施していなかった過去の症例との比較を行っていく予定である。その後,再来年度をめどに早期経口摂取に向けた機能訓練の取組みについての検討も進めていく予定である。また,本年度実施した研究の成果について,国内,国外の関連学会で積極的に発表していく。
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Causes of Carryover |
今年度は,計画立案から倫理審査委員会への申請までの期間を要したため、データ採取を行う研究実施が若干短縮したために次年度使用額が生じた。また,当初対象疾患である食道がん症例だけでは十分な症例数に至らなかったため消耗品などの使用が当初の予定に達しなかったことも一因と考える。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は積極的にデータ採取を行っていく予定である。また研究成果を多くの国内および国際学会で発表していく予定でもある。計画通り進めば翌年度分として請求した助成金の予算に見合った支出が予想される。
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[Presentation] Oral care2015
Author(s)
Koichiro Matsuo
Organizer
5th European Society of Swallowing Disorders
Place of Presentation
Mataro Hospital, Barcelona, Spain
Year and Date
2015-10-02 – 2015-10-02
Invited
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