2016 Fiscal Year Research-status Report
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26463227
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
加悦 美恵 久留米大学, 医学部, 准教授 (80330869)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 紀巳子 久留米大学, 医学部, 教授 (80268953)
中山 麻由 久留米大学, 医学部, 助教 (30713218)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 看護学 / 基礎看護学 / 看護技術 / 車椅子移乗 |
Outline of Annual Research Achievements |
療養者の移乗介助は複数人で行うことが推奨されているが、その方法に関する教育・研究の報告は数少ない。そこで、介助者二人で療養者をベッドから車椅子へ移乗する方法を2種類実施し、心拍数、呼吸数、身体接触圧と主観的反応から、安全で快適な移乗方法を検討した。 対象は、患者役を健康な女子看護大学生11名、ナース役を現役の女性看護師8名で、ナースは主介助者と副介助者の役割をとり、端坐位の患者を車椅子へ移乗した。方法の一つは、主介助者が患者の正面に構え、その両上肢で患者の左右腸骨稜上部を、副介助者は両坐骨結節部を支える方法とした(以下、前後支持法とする)。二つ目は、患者の左右両側に主・副介助者が構えてそれぞれの大転子部を密着させ、立ち上がりを支える方法とした(以下、左右支持法とする)。測定内容は、主・副介助者の力が患者に最も加わる部位の接触圧を3回ずつ計測した。患者役の主観的評価として主観的安定度尺度のほか、不安感、恐怖感などについて回答を得た。心拍数と呼吸数は心電図モニターを主介助者、副介助者、患者それぞれに取り付け、5秒毎に測定値を得た。 分析は、心拍数、呼吸数、身体接触圧は左右支持法と前後支持法の各3回の平均値を、主観的評価は評定人数を比較した。統計手法はwilcoxon符号付順位和検定を用い、有意水準は5%未満とした。 身体接触圧と主観的反応については解析を終え、次の結果を得た。主・副介助者の接触圧は、前後支持法の方が低く、その構えの特徴として、腰臀部のみならず体幹・肩・背部への接触があり、移乗時の荷重が分散されて、計測部位の圧が小さくなった可能性が考えられた。二人で行う移乗方法としては、接触圧が分散され、不安感や恐怖感がより小さい前後支持法の方が優れている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
事業初年度に、実験の実施に向けた倫理審査に時間を要し、かつ、実験実施にあたっては、被験者である現役ナースの募集に困難をきたし、全体に当初計画が約1年遅れている状況である。現在は、実験データの解析中で、解析結果の一部を学会で公表するために、演題登録を終えた。 研究の遅れに伴い、補助事業期間延長の申請を行い、承認をいただいた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、主介助者、副介助者の動作解析を行って、前後支持法と左右支持法による車椅子移乗方法の違いを明らかにし、より良い方法を探る。学会で2種類の車椅子移乗方法について接触圧と主観的反応に関する実験結果を発表し、成果について検討を行ったのち、心拍数、呼吸数に関する解析結果とあわせて、論文を作成し公表していく。
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Causes of Carryover |
初年度に購入した実験用のベッドが予算より大幅に低価格で購入できた際に生じた予算残額に加え、計画していたデータ解析が進まなかったため、学会発表に至らず、学会参加のための費用の支出が少なかった。さらに、動作解析実験に着手できず、謝金支出がなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
演題登録をしている学会への参加費用、旅費等の使用を計画している。動作解析実験では消耗品を購入し、被験者ならびに実験補助員への謝金を支払う。実験終了後、解析結果をまとめて学会へ論文投稿する際の投稿費用の支出にも充てる予定である。
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