2015 Fiscal Year Research-status Report
臨地実習指導者の問題診断克服型教育プログラムの開発
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26463229
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中山 登志子 千葉大学, 看護学研究科, 准教授 (60415560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舟島 なをみ 千葉大学, 看護学研究科, 教授 (00229098)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 臨地実習指導者 / 問題 / 克服法 / 尺度開発 / 看護継続教育 / キャリア発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
臨地実習指導者の「問題診断尺度」の開発に向け、質的帰納的分析を反復し、実習指導者が直面する「問題」を表すカテゴリシステムの洗練を図った。また、国内外の文献検討を行い、開発を目指す尺度の独自性と意義を明確にするとともに、尺度の作成および信頼性・妥当性の検証方法を検討した。 1.臨地実習指導者が直面する「問題」の全容解明 臨地実習指導者が直面する「問題」の解明に向け、病院に就業する実習指導者566名の記述をBerelson,B.の方法論を参考にした看護教育学における内容分析を用いて分析した。566名の記述は801記録単位、566文脈単位に分割できた。このうち、実習指導者自身の問題として明確に記述された284記録単位を意味内容の類似性に基づき分類した。その結果、実習指導者が指導上直面する問題を表す40カテゴリ、すなわち実習指導者が学生を指導する際に直面する問題40種類が明らかになった。40種類のうち、最も多くの指導者が直面する問題は、<学生の個別状況に応じた指導難儀>であり、続いて<指導への学生理解獲得不可による指導効果不顕実感>、<指導と業務の並進による学生指導と患者援助の両立困難>、<適切な指導可否苦悶と指導に対する他者評価受理機会皆無>、<状況に適した助言・説明・発問不可>などであった。 2.臨地実習指導者の「問題診断尺度」の開発に向けた国内外の文献検討 臨地実習指導者が直面する問題や困難を測定する既存の尺度を検討し、質的帰納的研究の成果を基盤に開発を目指す本尺度の独自性および意義を確認した。また、先行研究の分析を通して、「問題診断尺度」の質問項目作成、尺度化、信頼性・妥当性の検証方法に関する示唆を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度は、臨地実習指導者が直面する「問題」の全容解明とともに、実習指導者が問題克服に向けて用いる「適切な克服法」の導出を計画していた。このうち、質的帰納的分析を反復し、実習指導者が直面する「問題」を表すカテゴリシステムを洗練し、「問題」40種類を解明した。一方、実習指導者が用いる「適切な克服法」導出に向けては、現在、基礎分析を終了した段階であり、今後、本分析を実施し「克服法」の全容を解明する。 本研究が開発を目指す「問題診断尺度」は、現実適合性を重視するため、尺度の基盤となる「問題」を質的帰納的に解明する必要がある。これは、尺度の基盤となる「問題」カテゴリが精度の高い質的帰納的分析結果である必然性を意味する。そのため、精度の高い「問題」カテゴリの解明に向け、分析対象となる記録単位の適切性を見直し、研究分担者の助言を受けながら基礎分析から本分析までの過程を4回実施した。以上のように、精度の高い「問題」解明に向けた質的帰納的分析に多くの時間を要し、「克服法」解明に向けた分析への着手が遅延した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、開発した「問題」を表すカテゴリシステムの信用性を確認する。次に、「問題」カテゴリを基盤に臨地実習指導者の「問題診断尺度」を作成し、専門家会議、予備調査を実施し、内容的妥当性を検討する。その後、尺度の信頼性・妥当性の検証に向け、全国の病院に就業する実習指導者を対象に調査を実施する。 また、これと並行しつつ、「問題」カテゴリの質的帰納的分析を通して獲得した方法論上の工夫を「克服法」カテゴリの分析に反映し、「克服法」カテゴリの形成を早期に終了する。
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Causes of Carryover |
現在までに、実習指導者が直面する問題の「克服法」解明に向け、281名の実習指導者からデータを収集している。問題の「克服法」を網羅するカテゴリシステムの開発に向け、既に収集している281名の実習指導者の特性を分析し、分析結果に基づき必要なデータを追加する予定であった。当初、計画していた問題の「克服法」解明に向けた分析への着手が遅延したため、追加のデータ収集に使用する予定の費用が次年度使用額として生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
問題の「克服法」を網羅するカテゴリシステムの開発に向け、既に収集している281名の実習指導者の特性を分析し、分析結果に基づき必要なデータを収集するための費用として使用する。
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