2016 Fiscal Year Research-status Report
高齢者長期ケア施設に日常倫理に基づくケアを確立する看護管理支援ツールの開発
Project/Area Number |
26463283
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
菊地 悦子 武蔵野大学, 看護学部, 准教授 (90307653)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高齢者長期ケア施設 / 看護管理実践 / 日常倫理 / 研修プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高齢者長期ケア施設に日常倫理に基づくケアを確立する看護管理実践を支援するツールを開発することである。支援ツールとは、看護管理者を含め、施設における高齢者ケアチームのリーダーを対象とした相互支援型の研修プログラムと研修用教材である。28年度は、27年度に作成した研修テキストと研修プログラムを修正し、合計6回の研修を実施し、研修の評価を目的とした質問紙調査を行った。研修の実施は、施設や団体の研修ニーズにあわせることに主眼をおき、施設や団体の既存の研修や授業の一部として実施した。 結果:研修プログラムのは、①日常倫理に関する知識、看護管理やリーダーシップと倫理的ケア実践の関係、日常倫理の問題の明確化と倫理的問題が生じている原因や誘因の探索方法に関してテキストを用いて解説する、②参加者が日常ケアで感じている倫理的問題ついて、生じている原因や誘因、リーダーとしての介入方法をグループワークで検討する、③ワークの結果を全体共有する、の3部で構成した。研修の実施は、高齢者長期施設で組織する連絡協議会の研修、病院、大学院、認定看護師養成課程、団体主催の研修会であ、参加者の延べ人数は、143名、内訳は、看護職94名、介護職49名であった。研修終了後の質問紙調査では、研修が今後の自分の高齢者ケアに役立つと思うかの問いに、「大いに役立つ」、「役立つ」に回答した者の割合が、各々の研修で、97%、94%、95%、100%、100%、92%であった。また、組織やケアチームでリーダーシップを発揮していく上で役立つかに関しては、95%、91%、95%、100%、100%、77%の参加者が「大いに役立つ」、「役立つ」と回答していた。自由記載欄からは、倫理的問題をケアスタッフ個々の問題としではなく、ケアチームの課題として取り組むための方策を見いだすことの重要性を学ぶ機会になっていたことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
開発した研修プログラムを継続的に実施可能なものにするためには、研修を実施する対象施設の既存の研修プログラムの一部で行うこと、研修実施施設や団体の研修ニーズに合わせ、研修実施時期、方法を検討する必要があり、そのための研究者と研修主催者との調整に時間を要した。結果、28年度は6つの研修を実施し参加者の参加後の評価を質問紙で回答いただけたが、質問紙調査の分析、解釈し管理者支援ツールを洗練するところまでは至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は看護管理者支援ツールとして研修教材と研修プログラムを開発することである。平成28年度に実施した研修後に得られた研修参加者の評価をデータとして、研修教材と研修プログラムを洗練した後に、学会や論文として公表することで広く活用できるツール開発を行っていく。
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Causes of Carryover |
研究計画では、高齢者施設ケアのナレッジ拠点として成果を出している研修の場の視察のための旅費、開発しているツールを専門家からアドバイスを受ける費用、データ入力費用、学会発表やテキストの印刷費用を計上していた。これらの計画が視察先の調子が難航したこと、質問紙調査でのデータ収集が遅れたことによって執行されなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
29年度は、高齢者長期ケア施設で先駆的な取り組みを行っている海外の施設の視察の調整ができたのでその旅費、管理者支援ツールを洗練するために専門家の意見を集めること、研究結果を公表するための費用として使用することを計画している。また、今回の研究結果をまとめ、管理者支援ツールのテキストとして製本することを予定している。
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