2017 Fiscal Year Research-status Report
インドネシア人看護師候補者の就労に関する現状把握と就労研修モデルの開発
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26463289
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
益 加代子 愛知県立大学, 看護学部, 講師 (80511922)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 千冬 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (60272267)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 外国人看護師 / 経済連携協定 / EPA / インドネシア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、EPAによるインドネシア人看護師候補者の受入れ施設の就労研修の現状および受入れの事例調査等を行い、就労研修モデルを開発することである。平成29年度の計画は、インドネシア人看護師候補者の受入れ施設でのフィールドワーク調査の分析のまとめと、インドンネシア国内での調査であった。 インドネシア国内の調査では、ジャカルタ市内の規模の異なる3病院と看護専門学校1施設でヒアリングと施設見学を行った。インドネシアでは、2017年に保健省より専門職キャリアラダーシステムの指針が出され、これに基づき、各病院の継続教育制度が大きく変化していた。調査時は導入をはじめたばかりの段階であったが、この制度の概要や今後の運用について説明をしてもらった。これまで継続教育を自前で実施していた規模の大きいクラスの病院では、新指針のインパクトはそれほどではないものの、中小規模クラスの病院ではインパクトが大きく、看護師の離職防止等につながるという期待も感じられた。運用については未知数ではあるが、看護師継続教育の裾野が広がり、国全体での看護の質向上に寄与する可能性を秘めた政策であることが確認できた。民間の専門学校では、インドネシアの看護基礎教育の規定単位、カリキュラムの構造、この学校の教員の構成、講義・演習・実習の概要について説明を受けた。演習や実習の単位数、すすめ方や評価は、日本のそれと大きく違わない。一部の先行文献で述べられているような日常生活援助の未学習はなく、清拭や洗髪などの看護技術も実施していた。ただ学生数に対しての演習環境は十分とは言い難く、こうした看護技術は実習で習得するとのことであった。インドネシア国内では、大学と専門学校、また都市部と地方での教育内容や設備の差が大きく、コンピテンシー試験や就職率との関連も考えられるとのことであった。こうした内容を踏まえた就労研修モデルの開発が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
インドネシア人受入れ施設の成功事例を分析するフィールドワーク調査では、1つの施設での調査に計画以上の時間を要し、施設数を増やせていない。調査承諾を得るプロセスや日程調整に時間がかかることもあり、現状把握に遅延が生じている。インドネシアでの調査結果も含めた就労の実態把握の必要性がでてきたため、フィールドワーク調査の内容を修正し、今年度の調査をすすめていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
インドネシア国内調査の結果から、看護基礎教育機関や就労先の病院規模等により、学習内容や経験内容に大きな差があることがわかった。したがって、日本に来日している看護師候補者の母国での教育や就労の実態を踏まえたうえで就労研修モデルの試案を検討する必要がある。今後は、インドネシア人看護師候補者の母国での教育や就労の実態を把握する調査を実施し、結果を受入れ施設の研修担当者と検討し、試案作成に取り組む予定である。また、受入れ施設の担当者については、現在の受入れ良好な施設に限らず、幅広い担当者から情報を収集し、就労研修モデルの試案を検討する。
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Causes of Carryover |
(理由)平成29年度は予定通りインドネシアでの調査費用を計上した。平成28年度までの調査で調査旅費が予定より少なかったため残額が生じている。 (使用計画) 次年度使用額は、インドネシア人看護師候補者への調査、受け入れ施設の担当者による検討会の実施のための調査費用、学会旅費にあてる。
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